FDAは扁平上皮癌を除く転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対してアリムタ注射剤を承認
2008年10月2日
2008年9月26日、米国食品医薬品局(FDA)は、ペメトレキセド注射剤(アリムタ注射剤、イーライリリー株式会社)を、扁平上皮癌以外の組織型を示す局所進行または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対してシスプラチンとの併用で初回化学療法として用いることを承認した。ペメトレキセドは、非小細胞肺癌(NSCLC)のうち扁平上皮癌には適応されない。化学療法を受けていないステージIIIb/IVのNSCLC患者1725人を対象に、多施設共同、無作為割付、非盲検試験が行われ、ペメトレキセド+シスプラチン併用(AC)群とゲムシタビン+シスプラチン併用(GC)群の全生存期間を比較した。生存期間の中央値は、AC群で10.3ヵ月、GC群で10.3ヵ月であった[調整ハザード比0.94(95%信頼区間:0.84、1.05)]。無増悪生存期間の中央値は、AC群で4.8ヵ月、GC群で5.1ヵ月であった[調整ハザード比1.04(95%信頼区間:0.94、1.15)]。全奏効率は、AC群で27.1%、GC群で24.7%であった。
この試験では、当初から、NSCLCの組織型が全生存期間に及ぼす影響の評価も計画されていた。生存期間において、組織型によって臨床的に関連のある差異が認められた。扁平上皮癌以外のサブグループにおいて、生存期間の中央値は、AC群で11.0ヵ月、GC群で10.1ヵ月であった[未調整ハザード比0.84 (95% CI: 0.74, 0.96)]。しかしながら、扁平上皮癌のサブグループでは、生存期間の中央値は、AC群で9.4ヵ月、GC群で10.8ヵ月であった[未調整ハザード比1.22 (95% CI: 0.99, 1.50)]。ペメトレキセドが、全生存期間において扁平上皮癌の患者で好ましい有効性を示せなかったことは、化学療法を受けたことがあるステージIII/IVのNSCLC患者を対象としたペメトレキセド単剤とドセタキセル単剤の比較試験をレトロスペクティブに解析した結果からも示唆された。ペメトレキセド単独投与は、このような化学療法歴のある肺癌患者に対して、2004年に承認されました。現在、薬剤添付書は改訂されており、アリムタは化学療法を受けたことのある肺癌患者のうち扁平上皮癌患者を除くことを推奨している。
AC治療を受けたNSCLC患者で最も一般的(>20%)にみられた副作用は、嘔気(56%)、疲労(43%)、嘔吐(40%)、貧血(33%)、好中球減少症(29%)、食欲不振(27%)、便秘(21%)であった。 臨床試験情報、安全性、用量、薬剤相互作用、禁忌を含むすべての処方情報は、Drugs@FDAから入手可能である。
******
Snowberry 訳
千種 葉月(薬学)監修
******
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効
2024年11月18日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる
2024年11月7日
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)
2024年10月17日
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長
2024年10月16日