小細胞肺がん二次治療、ニボルマブの効果は標準化学療法と同等
進行小細胞肺がん患者に対する化学療法と免疫療法では、奏効率および生存率は同等
一次治療後に再発した転移を有する小細胞肺がん(SCLC)患者において、抗PD1抗体治療薬であるニボルマブは、標準化学療法と比べて奏効率や生存率を改善しなかった。この知見は、スイスのジュネーヴで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2018、免疫腫瘍学会議で発表された。
ドイツのグロスハンスドルフにあるグロスハンスドルフ肺クリニック(Lung Clinic Grosshansdorf)とドイツ肺研究センター(German Centre of Lung Research )のMartin Reck教授の説明によれば、小細胞肺がん(SCLC)患者はしばしば高い初期奏効率を示すが、ほとんどの患者は一次治療後まもなく再発する。これらの再発患者には治療選択肢が限られており、予後不良となる。
Reck教授らは、ニボルマブを評価するCheckMate 331(NCT02481830)試験を実施した。ニボルマブは、プラチナベースの化学療法および一次治療以降の治療後に増悪したSCLC患者に対して米国で承認されている。
CheckMate 331試験は、ニボルマブを化学療法と比較する国際非盲検第3相臨床試験であった。本試験では、一次治療でプラチナベースの化学療法後に増悪した、限局型または進展型の転移を有するSCLC患者569人を登録した。患者は、現地の承認に基づき、ニボルマブ投与群(患者282人)、ノギテカン(トポテカン)またはアムルビシンを用いる化学療法群(285人)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。患者はプラチナ感受性(90日間)および中枢神経系への転移の有無により層別化された。両治療方法は増悪まで、またはニボルマブによる臨床的有用性が認められなくなるまで、もしくは忍容できない毒性が認められるまで継続された。ニボルマブ投与群対化学療法群の全生存期間(OS)が主要評価項目となった。
奏効期間はニボルマブ投与群の方が長かった
追跡期間15.8カ月~で、ニボルマブ投与群のOSイベント数が225件(79%)であったのに対し、化学療法群では245件(86%)であった。
全生存期間(OS)に関してニボルマブ投与群が化学療法群を上回る統計学的に有意な改善はみられなかった。OS中央値は、ニボルマブ投与群対化学療法群で7.5カ月対8.4カ月であった[ハザード比(HR):0.86、95%信頼区間(CI):0.72~1.04]。ただし、OS曲線は12カ月後になって分離を示した。1年全生存率は、ニボルマブ投与群が37%であったのに対し、化学療法群は34%であった。
各治療群において、無増悪生存期間(PFS)の中央値は1.5カ月対3.8カ月(HR:1.41、95%CI:1.18~1.69)であり、1年無増悪生存率は11%対10%であった。
ニボルマブ投与群対化学療法群でそれぞれの奏効率は39%対47%であり、奏効を示した患者の奏効期間(中央値)は8.3カ月(95%CI:7.0~12.6)対4.5カ月(95%CI:4.4~5.8)であった。
プラチナ耐性のあるSCLC患者では、化学療法群に対するニボルマブ投与群のOSハザード比は0.71(95%CI:0.54~0.94)であった。
安全性プロファイルは、化学療法群と比べてニボルマブ投与群に改善がみられた。全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発生率は、ニボルマブ投与群対化学療法群でそれぞれ55%対90%であり、グレード3~4のTRAE発生率はそれぞれ4%対73%であった。治療関連の死亡者は、ニボルマブ投与群で2人、化学療法群で3人であった。
結論
CheckMate 331試験において、二次治療としてのニボルマブ投与群を化学療法群と比較した全生存期間の主要評価項目は達成されなかった。
しかしながら、著者らによると、後発の生存曲線分離およびプラチナ不応性下の潜在活性がみられたことから、一部の患者に対しては長期的有用性が見込める可能性がある。新たな安全性シグナルは認められず、ニボルマブ投与群で報告された有害事象率は化学療法群よりも低かった。
参考文献
LBA5 – Reck M, Vicente D, Ciuleanu T, et al. Efficacy and safety of nivolumab (nivo) monotherapy versus chemotherapy (chemo) in recurrent small cell lung cancer (SCLC): Results from CheckMate 331.
Bristol-Myers Squibb社からの助成が報告された。
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