FDAが転移非扁平上皮肺がん初回治療にぺムブロリズマブを正式承認
2018年8月20日、米国食品医薬品局(FDA)は、腫瘍にEGFRまたはALK遺伝子異常を有していない転移性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSqNSCLC)患者の初回治療薬として、ぺムブロリズマブ(キイトルーダ:米国メルク社製)をペメトレキセド+白金製剤との併用療法で承認した。
ぺムブロリズマブは、患者を本薬剤+ペメトレキセド+カルボプラチン併用投与群またはペメトレキセド+カルボプラチン投与群に無作為に割り付け比較したKEYNOTE-021試験において、全奏効率および無増悪生存期間が改善した結果に基づき、2017年5月、上述の適応で迅速承認されている。
今日の承認は、本薬剤の臨床的有益性を実証する市販後コミットメント(研究実施の約束)が十分に果たされたことを意味する。この承認は、初回治療中の転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者616人を登録しておこなわれたランダム化、多施設、二重盲検実薬対照試験KEYNOTE-189(NCT02578680)の結果に基づいている。本試験では、患者をペムブロリズマブ+ペメトレキセド投与群とプラセボ+ペメトレキセド投与群に2:1の割合で無作為に割り付けて3週毎に投与し、初めの4サイクルは試験責任医師の選択によりシスプラチンまたはカルボプラチンのいずれかを併用した。ぺムブロリズマブの投与は病勢進行、毒性の許容範囲超過、または最大24カ月まで継続した。
主要有効性評価項目は全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)であり、独立した第三者委員会が盲検再評価(RECIST 1.1)をおこなった。
本試験では、ぺムブロリズマブ+化学療法に無作為に割り付けられた患者のOSが、事前に規定された中間解析において、統計的に有意な改善を示した(HR 0.49; 95%CI:0.38,0.64; p <0.00001)。OS中央値は、ぺムブロリズマブ+化学療法群ではデータカットオフ時点で未到達であり、化学療法群患者では11.3カ月であった。また同試験で、ぺムブロリズマブ+化学療法群でPFSの改善もみられた(HR 0.52; 95%CI:0.43,0.64; p <0.00001)。PFS中央値は、ぺムブロリズマブ+化学療法群では8.8カ月、化学療法のみを受けた患者では4.9カ月であった。全奏効率はぺムブロリズマブ+化学療法群で有意に高く(48%対19%; p = 0.0001)、奏効期間中央値は11.2カ月対7.8カ月であった。
KEYNOTE-189では倦怠感/無力症、嘔気、便秘、下痢、食欲不振、発疹、嘔吐、咳、呼吸困難、発熱などの有害事象が最も多く、患者の20%以上にみられた。
非扁平上皮非小細胞肺がんに対するぺムブロリズマブの推奨投与量および投与スケジュールは、3週間ごとに200mgを30分以上かけて点滴静注する。
キイトルーダの全処方情報はこちら。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効
2024年11月18日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる
2024年11月7日
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)
2024年10月17日
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長
2024年10月16日