Durvalumabが治療歴を有する進行非小細胞肺がんに有効

ATLANTIC第2相試験では、EGFR / ALK野生型の局所進行性および転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の複数の抗がん剤治療を治療歴のある患者において、durvalumab[ドゥバルマブ]が有効であり、効果は長時間持続するという結果が得られた。PD-L1陽性細胞の割合が25%のカットオフを超えた患者では、効果が明らかに大きかった。この結果は、世界肺癌学会(2016年12月5~8日 ウィーン、オーストリア)の進行非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害剤についてのプレナリーセッションで発表された。

2つの化学療法の後に進行した非小細胞肺がん患者は、治療選択肢が少なく、転帰も良好ではない。durvalumabは、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に対する抗体である。

ATLANTICは、WHOのパフォーマンスステータス0または1かつ、ステージIIIB~IVの非小細胞肺がん患者で、以前に少なくともプラチナ製剤ベースを含め、2つ以上の全身治療レジメンを受けたことのある患者を対象とする非盲検単群試験である。

この研究は、当初は全員が登録され、途中からPD-L1高発現群(腫瘍細胞の25%以上にPD-L1染色がみられた)患者に限定されて行われた。

研究には3つのコホートがあったが、研究者らは、発表では、EGFR / ALK野生型または未知の状態であるコホート2および3の最終結果のみが報告された。コホート3に登録された患者はPD-L1染色で少なくとも90%の腫瘍細胞を有していた。

主要エンドポイントは、独立した中央判定に基づく、RECIST v1.1による奏効率(ORR)であった。二次エンドポイントには、疾患制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、および安全性が含まれる。

2016年6月3日時点で、265人の患者がコホート2に、68人がコホート3に含まれていた。効果は長期間にわたって持続し、コホート2において、PD-L1≧25%の患者では、全体的な奏効率は扁平上皮および非扁平上皮組織学の患者とでほぼ同レベルだった。

疾患制御率は、コホート2のPD-L1高発現患者で28.8%、PD-L1低発現/陰性患者で20.4%だった。コホート3では38.2%であった。

無増悪生存期間(PFS)の中央値は、コホート2のPD-L1高発現患者では3.3カ月、同じコホートでPD-L1低発現/陰性の患者では、1.9カ月であった。コホート3では2.4カ月であった。

1年後の全生存率は、コホート2のPD-L1高発現患者で47.7%、同じコホートでPD-L1低発現/陰性患者では34.5%であったが、コホート3で50.8%であった。

ほとんどの有害事象は軽度であり、治療遅延や免疫抑制的な治療により解決された。全体的に、患者の10.2%は少なくともグレード3の治療関連の有害事象を、また2.7%は治療関連の有害事象を有し、中止に至った。

著者らは、この結果は、転移性の再発非小細胞肺がんにおける他の抗PD-1 / PD-L1療法と同様であり、durvalumabのさらなる開発を後押しすると結論付けた。

参考文献:
PL04a.03–Garassino MC, ansteenkiste JF, Kim J, et al. Durvalumab in ≥3rd-Line Locally Advanced or Metastatic, EGFR/ALK Wild-Type NSCLC: Results from the Phase 2 ATLANTIC Study. Presented at World Conference on Lung Cancer, 5-8 December 2016, Vienna, Austria.

翻訳担当者 内藤裕子

監修 後藤 悌(呼吸器内科/国立がん研究センター)

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