非機能性神経内分泌腫瘍に対するエベロリムスのFDA承認

Oncology Approved Drug

2016年2月26日、米国食品医薬品局(FDA)は、消化管(GI)または肺原発の局所進行性、転移性または切除不能の高分化型進行性非機能性神経内分泌腫瘍(NET)の成人患者の治療として、エベロリムス(商品名:アフィニトール、Novartis社)を承認した。

本日の承認は、エベロリムス10mgの1日1回経口投与+支持療法(BSC)とプラセボ+支持療法を比較した多施設ランダム化(エベロリムス群対プラセボ群(2:1))プラセボ対照試験において、無増悪生存期間(PFS)に改善がみられたことを受けたものである。

臨床試験は、消化管または肺原発の切除不能、局所進行性または転移性の高分化型(定型的カルチノイド、または非定型的カルチノイド)、非機能性(現在、または過去のカルチノイド症状の既往なし)の神経内分泌腫瘍(NET)患者302人を対象として行われた。

ランダム化前6カ月以内の疾患進行が、患者にとっての試験参加条件であった。主要な有効性の評価項目は、独立した放射線科医によるRECISTに基づく無増悪生存期間(PFS)であった。PFSの中央値はエベロリムス群で11カ月、プラセボ群で3.9カ月であった[ハザード比(HR) 0.48(95%信頼区間(CI): 0.35, 0.67), p <0.001, 層別ログランク検定]。全奏効率は、エベロリムス群で2%、プラセボ群で1%であった。計画された中間解析段階では、両群に全生存期間における統計的な有意差はみられなかった。

安全性情報は、試験薬であるエベロリムスを1回以上服用した300人を対象に評価された。エベロリムスの暴露期間中央値は9.3カ月で、患者の64%が6カ月以上、39%が12カ月以上治療を受けた。

患者の29%は副作用によりエベロリムスの投与を中止し、エベロリムス群の患者の70%は投与量減量もしくは投与延期が必要となった。重篤な副作用はエベロリムス群の患者の42%に発現し、そのうち3件は死亡に至る事象であった(心不全、呼吸不全、および敗血症性ショック)。もっとも多くみられた副作用(30%以上の発現)は、口内炎、感染症、下痢、末梢性浮腫、疲労、および発疹であった。もっとも多くみられた検査所見の異常(50%以上の発現)は、貧血、高コレステロール血症、リンパ球減少症、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の上昇、および空腹時高血糖であった。

エベロリムスは、1日1回10mgの経口投与が推奨される。

添付文書は、以下で入手可能である。http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2016/022334s036lbl.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象をすべてFDAのMedWatch Reporting Systemに報告すること。報告は、オンライン・フォームへの記入(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームのFAX(1-800-FDA-0178)もしくは郵送での送付、または電話(1-800-FDA-1088)にて行うこと。 

翻訳担当者 中島 節

監修 田中謙太郎(呼吸器・腫瘍内科、免疫/福岡東医療センター)

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