カルボプラチン・パクリタキセル+リニファニブ併用により進行非扁平上皮非小細胞肺癌の無増悪生存期間が延長するも毒性が増加

キャンサーコンサルタンツ

カルボプラチン・パクリタキセル化学療法にリニファニブ[linifanib]を追加することで進行非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者の予後が改善したという第2相臨床試験結果が、Journal of Clinical Oncology誌で発表された。しかし、リニファニブ併用により治療の副作用リスクは増加した。

肺癌は世界中で依然として癌関連死因の第1位である。米国内で、NSCLCは肺癌全体の75~80%を占める。近年進歩がみられるものの、進行期肺癌患者の多くは今なおその病気が原因で死亡している。新たな治療法が切に望まれている。研究者らはこのほど、NSCLCへのリニファニブの使用が有望とみられると報告した。

リニファニブは多様な癌の治療用に開発中の、経口投与で奏効する多標的チロシンキナーゼ阻害剤である。この化合物は、血管内皮増殖因子や血小板由来増殖因子の受容体を阻害するようにデザインされている。

本研究では、IIIB/IV期非扁平上皮NSCLC患者138人が3週間ごとにカルボプラチン・パクリタキセル化学療法+リニファニブ併用治療またはカルボプラチン・パクリタキセル化学療法単独治療を受け、直接比較された。

リニファニブ併用で、平均無増悪生存期間は5.4カ月から8.3カ月に改善され、全生存期間は11.3カ月から13カ月に延びた。リニファニブ併用に多くみられた副作用として、下痢、貧血、高血圧、体重減少ならびに皮膚への毒性があった。一方、カルボプラチン・パクリタキセル単独治療の治療中断または用量減量の最も多い理由は、血小板減少症であった。

化学療法へのリニファニブ併用は、無増悪生存期間を有意に延長させ、全生存期間を小幅に延長させた。さらに臨床試験を継続し、NSCLC管理におけるリニファニブの最適な役割を究明している。

参考文献:

Ramalingam S, Shtivelband M, Soo R, et al. Randomized Phase II Study of Carboplatin and Paclitaxel With Either Linifanib or Placebo for Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. Published online before print January 5, 2015, doi: 10.1200/JCO.2014.55.7173


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 太田奈津美

監修 廣田 裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効の画像

免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効

進行非小細胞肺がんでSTK11/KEAP1変異を有する患者への併用療法により転帰が改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させるの画像

先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解(引用)
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)の画像

世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)

特集:術前・術後の免疫療法、HER2およびEGFR遺伝子変異を標的とした治療など、肺がん治療における有望な臨床的進歩テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは...
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長の画像

肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解「過去15年間にわたり、ミシシッピ・デルタ中心部における質改善の取り組みは、この高リスク集団の...