セリチニブのFDA承認

製品名:Zykadia

・既治療歴のあるALK陽性の転移性非小細胞肺がんの治療薬として承認(2014/04/29)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用、禁忌などの全処方情報Full prescribing information (原文)が参照できます。

2014年4月29日、米国食品医薬品局(FDA)は、病状が進行した、あるいはクリゾチニブ(ザーコリ)による治療が不可能となった未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療薬として、セリチニブ(Zykadia、製造元ノバルティスファーマ社)を迅速承認しました。

セリチニブは、病状が進行し続けているか、またはクリゾチニブの治療ができなくなったALK陽性の転移性非小細胞肺がん患者163人を対象とした多施設単群非盲検臨床試験の結果に基づいて承認されました。すべての患者にセリチニブを750 mgを1日1回投与しました。

承認を支持する主要エンドポイントは、臨床試験責任医師と盲検独立中央審査委員会(BIRC)が評価したRECISTに準じた客観的奏効率(ORR)としました。また、反応継続時間も評価しました。

患者の年齢の中央値は52歳でした。患者の過半数は女性(54%)、白人(66%)で、喫煙歴がない、あるいは喫煙経験者(97%)でした。ほとんどの患者はECOGパフォーマンス0か1(87%)で、腺がんの組織構造がみられました(93%)。大半の患者(91%)に過去のクリゾチニブ治療で病状の進行があり、84%は以前に2種類以上の転移性疾患の治療を受けていました。胸部以外に転移がみられた部位は、脳(60%)、肝臓(42%)、骨(42%)でした。

試験の結果では高倍率の反応継続時間が示されており、ORRが44%(95 percent CI: 36, 52)で、BIRCが定める腫瘍評価基準に基づいた反応継続時間は7.1カ月でした。責任医師による解析でも同様の結果を示しており、ORRは55%(95 percent CI: 47, 62)、反応継続時間は7.4カ月でした。

セリチニブの安全性はALK陽性の腫瘍患者255人(NSCLC患者246人、他のがん患者9人)に1日1回、750mgのセリチニブを投与し、評価しました。副作用で最も多くみられた(少なくとも25%)のは、下痢、吐き気、肝酵素(アミノ基転移酵素)の上昇、嘔吐、腹痛、倦怠感、食欲減退、便秘でした。重度の有害事象(有害事象共通用語基準グレード3から4)として、下痢、倦怠感、アミノ基転移酵素の上昇、高血糖、血中リン濃度の低下、リパーゼ値の上昇、貧血が、少なくとも患者の5%にみられました。重篤な有害事象には、間質性肺炎と心拍異常(QT延長)もみられました。

米国食品医薬品局は、2013年3月、クリゾチニブの治療歴がある転移性ALK陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の臨床成果を予備的証拠として、セリチニブを画期的治療薬に承認しました。

推奨投与量は1日1回750 mgで、病状が進行するか、あるいは許容できない毒性がみられるまで、毎日空腹時に経口投与するものとしました。この推奨投与量で治療を開始した患者のおよそ60%に少なくとも1度、減量が必要でした。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

翻訳担当者 日ノ下満里

監修 廣田 裕(とみます外科プライマリーケアクリニック・呼吸器外科、腫瘍学)

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