処方薬+カウンセリングの統合ケアにより禁煙成功率が上昇
肺がん検診(高リスク喫煙者対象)を受ける喫煙者にとって、薬物療法と集中的なカウンセリングの組み合わせが最適な禁煙介入であることが研究から判明
肺がん検診を受ける喫煙者が薬物治療とタバコ治療専門医による総合的なカウンセリングを含む統合ケアを受けた場合、禁煙成功率が最も高くなる可能性がテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによって明らかになった。
本日JAMA Internal Medicine誌に発表された研究結果によると、統合ケアは他の禁煙方法よりも優れており、禁煙成功率がほぼ2倍向上したという。肺がん検診の対象となる現喫煙者630人を対象としたこのランダム化臨床試験では、統合ケアを受けた人の30%以上が6カ月後も禁煙を続けていた。
「肺がん検診は喫煙者にとって、私たちが禁煙をサポートする重要な機会となります」と、MDアンダーソンの行動科学部長でタバコ研究・治療プログラムのエグゼクティブディレクターである主任研究者のPaul Cinciripini博士は述べている。「効果的な薬と訓練を受けた禁煙専門家へのアクセスを提供することが、禁煙を成功させる上で、願わくば肺がんを回避させる上で、絶好の機会であることを、私たちの研究は示しています」。
肺がんは、米国におけるがんによる死亡原因の第1位であり、診断されるがんの中で2番目に多いがんであり、がん関連死の5分の1を占めている。肺がん症例の85%は喫煙が原因であり、がん関連死全体の約30%を占めている。毎年、推定480,000人の米国人がタバコ関連の病気で亡くなっている。
平均的な喫煙者は、依存症を克服するまでに何度か禁煙を試みる。MDアンダーソンのタバコ研究および治療プログラムは、個人レベルおよび集団レベルで禁煙の障壁に取り組んでおり、科学者はタバコ依存症を治療する医療従事者間の知識格差に対処することで臨床診療を変えることを目的とした研究を行っている。
この研究では、参加者は2017年7月から2021年7月の間にヒューストンで募集された。参加者は50歳以上で、1日平均20本のタバコを吸っていた。参加者は210人ずつ3つのグループにランダムに分けられ、以下の介入を受けた:禁煙ホットラインの紹介とニコチン置換療法(NRT)(QL)、禁煙ホットラインの紹介とNRTまたは肺がんスクリーニング臨床医が処方した薬(QL+)、またはNRTまたは処方薬療法とカウンセリングを含む、タバコ治療の専門家と医師のチームによる統合ケア(IC)。
3カ月目の禁煙成功率は、QL+コホートの27.1%やQLコホートの25.2%と比較して、ICでは37.1%と最も高くなった。6カ月目の禁煙成功率は、QL+グループの27.6%やQLグループの20.5%と比較して、ICでは32.4%と最も高くなった。
「専門的かつ統合的なケアを提供できる施設は優先して実施し、禁煙と健康状態の改善の最良の機会を患者に与えるべきです」とCinciripini博士は述べた。「私たちの研究結果からすると、このアプローチは、心的外傷後ストレスクリニックや、がん、心臓血管疾患、糖尿病の患者など、検診の環境以外でも非常に効果的である可能性があります」。
この研究の限界としては、対象集団が主に白人であったこと、研究開始後にコロナ対策の制限が設けられたためサンプル全体でCO(呼気一酸化炭素)自制検証が行われなかったことなどが挙げられるが、検証を行ったサブサンプルと行わなかったサブサンプルの全体的な結果は同様であった。
この研究は、国立がん研究所(R01CA207078、P30CA016672)、MDアンダーソン肺がんムーンショット™、テキサス州永久健康基金、チャールズA.ルメストル博士を記念した臨床がんケアのマーガレット&ベン ラブ チェアの支援を受けて実施された。バレニクリンはファイザー製薬から提供され、禁煙ホットライン サービスはRVOヘルスから提供された。謝辞、共同著者、開示事項の全リストは元論文をご覧ください。
- 監修 東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/奈良県総合医療センター)
- 記事担当者 仲里芳子
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- 原文掲載日 2025/01/10
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