米FDAがALK陽性局所進行/転移非小細胞肺がんにensartinibを承認
2024年12月18日、米国食品医薬品局(FDA)は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤の投与歴のないALK陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者を対象に、ensartinib[エンサルチニブ](販売名:Ensacove、Xcovery Holdings社)を承認した。
有効性は、ALK標的治療歴のない局所進行または転移性ALK陽性NSCLC患者290人を対象とした、非盲検無作為化実薬対照多施設共同試験であるeXALT3試験(NCT02767804)で評価された。患者はエンザルチニブ群とクリゾチニブ群に1:1で無作為に割り付けられた。
有効性の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、盲検下独立中央判定により評価された。主要な副次評価項目は全生存期間(OS)であった。エンザルチニブはクリゾチニブと比較して統計学的に有意な PFS の改善を示し、ハザード比(HR) は 0.56(95%信頼区間 (CI):0.40、0.79、p値 = 0.0007)であった。PFS中央値はensartinib群で25.8カ月(95%CI:21.8、推定不能)、クリゾチニブ群で12.7カ月(95%CI:9.2、16.6)であった。OSに統計学的有意差は認められなかった(HR 0.88[95%CI:0.63、1.23]、p値 = 0.4570)。
特に多くみられた副作用(20%以上)は、発疹、筋骨格系の痛み、便秘、咳嗽(せき)、そう痒(かゆみ)、悪心、浮腫、発熱、疲労であった。
エンザルチニブの推奨用量1日1回225 mgの経口内服であり、食事の有無は問わない。服用は、病勢進行、または許容できない毒性が発現するまで継続する。
Ensacoveの全処方情報はこちらに掲載予定である。
※監修者注: エンサルチニブは、中国での実績を基にした下記論文で、治療における費用対効果が高いとされているALK阻害剤です。
Frontiers in Public Health PMID 36211665 Cost-effectiveness of ensartinib, crizotinib, ceritinib, alectinib, brigatinib and lorlatinib in patients with anaplastic lymphoma kinase-positive non-small cell lung cancer in China (中国におけるALK陽性非小細胞肺がん患者に対するエンサルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブの費用対効果)
- 監修 田中謙太郎(呼吸器内科、腫瘍内科、免疫/鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 呼吸器内科学分野)
- 記事担当者 小石 みゆき
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- 原文掲載日 2024/12/18
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