RET融合陽性非小細胞肺がんに対するセルペルカチニブ治療は東アジアの患者に有効
食道がん、上咽頭がん、肺がんの治療の進歩ーASCOブレークスルー会議
新しい治療法が生存とQOLの改善に役立つ
食道がん、上咽頭がん、肺がんにおける新たな研究の進展を詳述する3つの重要な研究が、8月8日から10日まで横浜で開催された2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)ブレークスルー会議で発表される
RET融合陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に選択的RET阻害薬セルペルカチニブによる治療成績を検討した第3相LIBRETTO-431試験のデータの新たなサブグループ解析により、セルペルカチニブは無増悪生存期間を改善し、この集団に対する安全かつ有効な治療薬としての可能性が確認された。これらの結果は一般集団の場合と一致しており、セルペルカチニブをRET融合陽性NSCLCの優先的な一次治療として使用することを支持するものである。
肺がんは、世界で2番目に多く診断されるがんであり、がんによる死亡原因の第1位である。肺がんと診断される人の約80%は非小細胞肺がん(NSCLC)と診断される。NSCLCと診断された人の約1%~2%では、RET融合と呼ばれるRET遺伝子変化が認められる。
第3相LIBRETTO-431試験は、選択的RET阻害薬と呼ばれる標的療法薬の一種であるセルベルカチニブが、RET融合陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療にどの程度有効であるかを、ペムブロリズマブ併用または非併用のプラチナ製剤ベース化学療法と比較したものである。研究者らは、中国、香港、日本、韓国、台湾など東アジアの数カ国の患者を対象に、セルペルカチニブと対照治療を比較したこの試験で収集されたデータの新たな解析を行い、この薬剤がこの特定の患者集団にも有効であるかどうかを確認した。アジアでは世界のどこよりも多くの人々が肺がんと診断されているため、この研究は重要である。
解析に組み入れられた116人の東アジア人患者のうち、75人はセルペルカチニブを投与され、41人はペムブロリズマブの併用または非併用の化学療法を受けた。セルペルカチニブ群で19.4カ月、対照群で21.2カ月の追跡期間中央値後の無増悪生存期間中央値は、セルペルカチニブ群で未到達、対照群で11.1カ月であった。12カ月後、がんが進行していない患者の割合はセルペルカチニブ群で72.8%、対照群で41.7%であった。全奏効率はセルペルカチニブ群で86.7%、対照群で61%であった。
「一般集団において有効な治療法が、一部集団においても有効かつ安全であるとは常に想定できるものではありません。今回の目覚ましい結果は、新たにRET遺伝子変異NSCLCと診断された東アジアの患者にとってセルペルカチニブが有効かつ安全な治療法であることを確信させるものです」とサラ・キャノン研究所最高科学責任者であるDavid R. Spigel医師は述べた。
上記の情報は、抄録番号 214「RET 融合陽性 NSCLC における 1L セルペルカチニブの有効性と安全性: LIBRETTO-431 東アジアサブグループ解析" を要約したものである。抄録を見る(原文)
- 監修 小宮武文(腫瘍内科/Penn State College of Medicine)
- 記事担当者 山田登志子
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- 原文掲載日 2024/08/05
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