FDAが転移性ALK陽性、非小細胞肺癌の治療薬としてセリチニブを承認
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FDAが転移性ALK陽性、非小細胞肺癌の治療薬としてセリチニブを承認
審査終了目標日より4カ月早く承認された画期的治療薬
米国食品医薬品局(FDA)は本日、一部の進行期(転移性)非小細胞肺癌(NSCLC)患者の治療薬としてZykadia (セリチニブ)を迅速承認した。
Zykadiaは、チロシンキナーゼである未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤で、癌細胞の発生を促すタンパク質であるALKを阻害する。Zykadiaは、唯一の承認済みである他のALK阻害剤クリゾチニブによる治療歴のある転移性ALK陽性NSCLC患者を対象とする。
肺癌は男性、女性ともに癌関連死の第一位である。米国国立癌研究所(NCI)の推定によれば、今年、224,210人の米国人が肺癌と診断され、159,260人が肺癌のため死亡するという。肺癌の約85%は NSCLCで、最も多い種類の肺癌である。しかし、ALK陽性NSCLC患者は2%~7%しか存在しない。
「今回の承認により、NSCLCにおける根本的なシグナル伝達経路に関してさらに理解を深めることで、これらの経路を標的とする特定の薬剤の開発につながるということが示されます」と、FDA医薬品評価研究センター血液腫瘍製品室所長のRichard Pazdur医師は述べた。「また、民間企業と共同で薬剤の開発・審査・承認を促進し、画期的治療薬指定プログラムの可能性を示すように、FDAが取り組んでいることもわかります」。
Zykadiaは、画期的治療薬指定としてFDAによる承認を取得した4番目の医薬品である。また、Zykadiaは、処方薬受益者負担金法の目標日で、FDAによる薬剤承認申請の審査終了となる2014年8月24日の4カ月前に承認されている。
FDAは、Zykadiaの画期的治療薬指定・優先審査・希少疾病用医薬品指定を承認した。これは、臨床試験依頼者が予備的エビデンスを介して、申請書の提出時に重篤な病態の治療における安全性や有効性に有意な改善を示していること、また、希少疾患の治療を目的としていることなど、同薬剤が既存薬と比較して大きな改善をもたらす可能性があると示したことによる。
Zykadiaは、FDAの迅速承認制度下で承認されている。迅速承認制度下では、FDAは、重篤または生命にかかわる疾患の治療薬剤に対して、患者の臨床的有益性を予見しうる代替エンドポイントで有効性が示されれば、その薬剤の臨床データに基づいて承認できる。この制度により、製造元が確認を目的とする臨床試験を実施している間にも、患者はより早期に有望な新薬を利用することができる。
Zykadiaの安全性と有効性は、転移性ALK陽性NSCLC患者163人を対象とする臨床試験で確立された。全患者にZykadiaが投与されたが、試験の結果、約半数の患者で腫瘍の縮小が認められ、その効果は平均約7カ月持続した。
Zykadiaによく見られる副作用は、下痢、悪心、嘔吐、腹痛などの消化器症状である。また、血中肝酵素や膵酵素の濃度の上昇、血糖値の上昇などの異常検査所見も認められた。
Zykadiaは、ニュージャージー州イースト・ハノーバー市に拠点を置くノバルティス社が販売している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕
FDA: Drug Innovation (薬剤のイノベーション)〔原文〕
FDA: Breakthrough Therapies (画期的治療薬)〔原文〕
NCI: Lung Cancer (肺癌)〔原文〕
原文掲載日
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