非小細胞肺癌(NSCLC)の二次治療にnintedanibとドセタキセルの併用が有効
キャンサーコンサルタンツ
白金製剤を基本とした一次治療歴のある進行性非小細胞肺癌患者には、nintedanib[ニンテダニブ]とドセタキセルの併用が、二次治療として有効な選択肢であるとする試験結果がLancet Oncology誌に掲載された。
肺癌は米国で、依然として癌による死亡原因の第1位である。非小細胞肺癌(NSCLC)は、全肺癌の約85%に上る。現在、利用可能な併用化学療法レジメンによって、生存期間や生活の質(QOL)を改善することができるが、研究者らは、NSCLC患者の転帰を改善する方法(分子標的治療を含む)を探索し続けている。
ニンテダニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)の1~3、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の1~3、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のαおよびβが介在する経路を標的とするアンジオキナーゼ(angiokinase)阻害薬である。また、ニンテダニブは、RET、FLT3、Srcファミリーの受容体型キナーゼを阻害するとの報告もある。
第3相試験であるLUME-Lung 1は、NSCLCに対する二次治療としてドセタキセルとニンテダニブとを併用投与したときの有効性と安全性を評価したプラセボ対照二重盲検試験である。本試験には、27カ国211施設から一次治療の化学療法後に進行をみた病期3b期または4期の再発NSCLC患者1,314人が組み入れられた。患者は、ドセタキセル+ニンテダニブ群(ニンテダニブ併用群)またはドセタキセル+プラセボ群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間であり、副次的評価項目は全生存期間であった。
追跡期間中央値7.1カ月後の無増悪生存期間の中央値は、プラセボ群(2.7カ月)に比べ、ニンテダニブ併用群(3.4カ月)で有意に長かった。年齢、喫煙状況、全身状態(PS)、その他の特性で調整した後でもニンテダニブの効果が認められた。
進行後、扁平上皮癌患者では48%、腺癌患者では56%が追加治療を受けた。追跡期間中央値31.7カ月後の全生存期間の中央値は、ニンテダニブとドセタキセルとの併用治療を受けた以下の患者で有意に長かった。
- 腺癌患者(12.6カ月対10.3カ月)
- 一次治療開始後9カ月以内に進行した腺癌患者(10.9カ月対7.9カ月)
全患者集団では、これらと同様の有意な差はなく、全生存期間中央値はニンテダニブ併用群で10.1カ月、プラセボ群で9.1カ月であった。
グレード3以上の有害事象はニンテダニブ併用群の方が多く認められ、これらの有害事象には、下痢、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)上昇などがあった。ニンテダニブ併用群の19%、プラセボ群の6%が有害事象のため投与量の減量に至った。ニンテダニブ併用群の23%、プラセボ群の22%が有害事象のため治療薬投与の中止に至った。疾患進行とおそらく関連性がないと思われる死亡に至った有害事象は、ニンテダニブ併用群で5.4%、プラセボ群で3.8%に認められ、これらの有害事象には、敗血症(ニンテダニブ併用群5人対プラセボ群1人)、肺炎(2人対7人)、呼吸不全(4人対0人)、肺塞栓症(0人対3人)などがあった。
研究者らは「白金製剤を基本とした一次治療歴のある進行性NSCLC患者、特に腺癌には、ニンテダニブとドセタキセルとの併用が、二次治療の有効な選択肢である」と結論づけた。併用療法はすべての患者で無増悪生存期間を有意に延長し、腺癌患者の全生存期間も延長した。
参考文献:
Reck M, Kaiser R, Mellemgaard A, et al: Docetaxel plus nintedanib versus docetaxel plus placebo in patients with previously treated non-small-cell lung cancer (LUME-Lung 1): a phase 3, double-blind, randomised controlled trial. The Lancet Oncology. 2014; 15(2): 143-155.
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