アファチニブのFDA承認

商品名:Gilotrif

本剤の臨床試験情報、安全性、投与法、薬物間相互作用および禁忌などの全処方情報(原文)が参照できます。

2013年7月12日、米国食品医薬品局(FDA)はアファチニブ(Gilotrif錠剤、 Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals社)を、FDAに承認された検査で診断された上皮成長因子受容体(EGFR)のエクソン19欠損もしくはエクソン21(L858R)置換変異を伴う転移性非小細胞性肺癌(NSCLC)に対する一次治療薬として承認しました。アファチニブの安全性と効果はその他のEGFR変異を伴う癌の患者においては認められていません。本措置に伴い、FDAはEGFRのエクソン19欠損およびエクソン21(L858R)置換変異の診断のため、therascreenEGFR RGQ PCR Kit(QIAGEN)を承認しました。

アファチニブの本承認は、非盲検ランダム化多施設国際共同(2.1)試験での無増悪生存期間(PFS)の改善に基づくものです。本試験には345人の、EGFR変異陽性と診断された転移性NSCLC患者が組み入れられました。患者は無作為に1日1回40 mgの経口アファチニブ群(n=230)もしくはペメトレキセドまたはシスプラチン群(115人)に割り付けられました。EGFR突然変異状態(エクソン19欠損対エクソン21L858R対「その他」)および人種(アジア人対非アジア人)により層別無作為化されました。主な有効性転帰は独立評価委員会(IRC)により評価された無増悪生存期間(PFS)です。

本試験に組み込まれた345人の患者のうち、65%は女性で、年齢中央値は61歳、26%は白人、72%はアジア人でした。患者の中で最も多かったのは、腫瘍標本におけるEGFR変異がエクソン19欠損(49%)もしくはエクソン21(L858R)置換(40%)であり、残りの11%は「その他」の変異を持つものでした。

IRCによりPFSの統計学的に有意な延長が認められたのは、アファチニブ治療群に組み入れられた患者でした[HR 0.58 (95 percent CI: 0.43, 0.78); p < 0.001、層別解析ログランクテスト]。アファチニブ治療群患者のPFS中央値は11.1カ月に対し、化学療法患者群では6.9カ月でした。アファチニブ治療群患者における客観的奏効率(ORR)は50.4%に対し、化学療法群では19.1%でした。全生存率においては2群間に統計的に有意な差は証明されませんでした。エクソン19欠損もしくはエクソン21(L858R)置換変異のある腫瘍では、アファチニブ治療群の患者のPFS中央値が13.6カ月であるのに対し、化学療法群では6.9カ月でした。

アファチニブにおける最も頻度の高い(最低20%の発生率)副作用は、下痢、発疹/ざ瘡様皮膚炎、口内炎、爪囲炎、皮膚乾燥、食欲減退、そう痒(かゆみ)でした。

重篤な副作用はアファチニブ治療群の29%で報告されました。最も頻度の高い重篤な副作用は下痢(6.6%)、嘔吐(4.8%)、および呼吸困難、倦怠感、そして低カリウム血症(各1.7%)でした。アファチニブ治療患者群における致死的な副作用は肺毒性/間質性肺疾患(ILD)様反応(1.3%)、敗血症(0.43%)、および肺炎(0.43%)でした。

アファチニブの推奨用量と治療スケジュールは、疾患進行もしくは患者に耐性が認められなくなるまでのあいだ、40 mgを一日一回経口投与されます。アファチニブは食事の最低一時間前もしくは二時間後に摂取することとされています。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

翻訳担当者 藤平 あや

監修 吉松由貴 ( 呼吸器内科/淀川キリスト教病院)

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