中国人女性において肺癌診断前の大豆摂取量が多いことと生存期間の延長は関連する

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Nicole Racadag
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nicole.racadag@asco.org

ニュースダイジェスト
• 2013年3月25日付Journal of Clinical Oncology誌電子版に掲載された試験の要約。癌と診断される前に多くの大豆を摂取した中国人女性では、大豆摂取量の少ない女性よりも生存期間が延長したと報告された。
• 米国臨床腫瘍学会Cancer Communications 委員会メンバーで肺癌専門家であるJyoti Patel医師に帰属する引用文
• ASCOのウェブサイトCancer.Net上の追加情報へのリンク。

上海で行われた大規模観察研究により得られた最新の結果では、肺癌と診断される前に大豆食品を多く摂取していた女性患者では大豆の摂取が少なかった患者よりも生存期間が長かった。本試験は3月25日付Clinical Oncology 誌に掲載されており、大豆摂取は肺癌生存率に好ましい効果のあることを示す初めての科学的証拠が得られた。

「われわれの知る限り、本試験は肺癌診断前の大豆の大量摂取と全生存率の向上との関連を示唆する初めての試験です」と筆頭著者であり、バンダービルド大学医療センター研究員で公衆衛生修士であるGong Yang医師は述べている。「今回の結果は非常に期待できるものですが、たったひとつの試験を基に、一般の人々に対して食事に関する勧告を与えるのは時期尚早です」。

肺癌は世界中の女性にとって癌関連死の主要な原因であり、診断後に5年間生存できるのは患者7人中わずかひとりにすぎない。新たに得られた証拠では、女性ホルモン、特にエストロゲンは肺癌の転帰に影響を及ぼす可能性のあることが示唆されている。大豆にはエストロゲン様物質であるイソフラボンが含まれており、イソフラボンは腫瘍の発生と増殖に関与する分子経路に影響を及ぼすことでも知られている。同じ研究グループによる最近の試験では、大豆食品の大量摂取により肺癌のリスクが40%低下したことが報告されている。

今回の試験では、Shanghai Women’s Health Study(上海女性の健康スタディ)の参加者において、大豆摂取による肺癌生存率に対する効果が検討された。Shanghai Women’s Health Studyでは上海在住の女性74,941人を対象に癌の発生率が調査された。また、通常の食事による大豆食品(豆乳、豆腐、生大豆、乾燥大豆、もやし、他の大豆製品)の摂取量に関する情報が、試験登録時とその2年後にも参加者から直接収集された。大豆食品とさまざまな食品中のイソフラボン含有量はChinese Food Composition(中国食品成分)表に基づいて計算された。試験期間中に444人の女性が肺癌と診断され、最初の食事評価から癌と診断されるまでの期間の中央値は5.8年であった。

今回の分析では、肺癌と診断される前の大豆食品摂取量により患者は3群に分類された。摂取量が最も多い群および最も少ない群の摂取量は、1日あたり多い群で豆腐およそ4オンス以上、少ない群で2オンス以下に相当した。大豆食品摂取量の最も多い患者群では最も少ない患者群と比較して、全生存率は著しく良好であり、摂取量の最も多い群では患者の60%、最も少ない群では患者の50%が診断から12カ月後に生存していた。

1日あたりの大豆摂取量が豆腐約4オンスに相当する量まで、大豆の摂取が増加するにつれて死亡リスクは低下した。大豆の大量摂取による生存利益以外の発見はなかった。同様の傾向は食事によるイソフラボンの摂取を評価したときにもみられた。しかし、必ずしも今回の結果をこの試験集団以外に適応できるとは限らない。なぜなら、この集団では肺癌発生の危険因子として知られている喫煙率は非常に低く、また肺癌の予後に悪影響を与える可能性のある要因のひとつである、閉経後ホルモン補充療法の使用も少ないからである。さらに、全般的な大豆食品の摂取は中国人女性のほうが欧米人女性より多い。「しかし、米国や他の地域でも大豆食品の需要が上昇していること、またタバコを吸わない女性が相当数いることを前提とすると、今回の試験結果の妥当性はもっと広がるのではないでしょうか」とYang医師は述べている。

さらなる研究により、肺癌と診断された後の大豆食品の摂取が生存率に影響を及ぼすかどうかについて、特に栄養学的介入による効果の最も高い早期癌患者において調査される予定である。

本研究は米国立癌研究所(NCI)の後援のもとに、バンダービルト大学の研究者により、Shanghai Cancer InstituteおよびNCIの研究者と共同して実施された。

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ASCOの見解

ASCO Cancer Communications委員会のメンバーであり肺癌専門医であるJyoti Patel医師

「この研究は、大量の大豆食品を摂取することは女性にとって、特に喫煙未経験者であれば、肺癌を発症するとことがあっても、より長期の生存が見込めるということを裏付ける初めて証拠である」。

Cancer.Net からの有用なリンク先

JCO Cancer Advances
Plant-Based Foods
General Nutrition Recommendations
The Role of Major Nutrients in Cancer Prevention
Guide to Lung Cancer

Journal of Clinical Oncology誌は、癌患者を治療する医師を代表する世界有数の専門家学会である米国臨床腫瘍学会(ASCO)が3カ月毎に発行している、論文審査のある学術誌である。

ニュース報道への引用には、JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY誌への帰属を明示のこと。

翻訳担当者 小縣正幸

監修 大渕俊朗(呼吸器・乳腺分泌・小児外科/福岡大学医学部)

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原文掲載日 

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