高齢肺癌患者において併用化学療法が生存期間を延長

キャンサーコンサルタンツ

パクリタキセルおよびカルボプラチンとの併用化学療法を受けた70歳以上の進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の中には単剤の化学療法を受けた患者よりも無増悪生存期間および全生存期間における改善がみられた。この第3相臨床試験の結果は2010年の米国臨床腫瘍学会の年次総会で発表される。

米国では、癌の中でも肺癌が依然として主な死亡原因となっている。NSCLCは全肺癌の約85%を占めている。

NSCLC症例の少なくとも30%が70歳以上の患者に発症しているが、高齢患者に対する最適な治療についての情報には限界がある。こうした情報の限界や高齢患者が積極的治療に忍容性がないことへの懸念から、高齢患者は併用による化学療法よりは単剤の化学療法により治療される場合がある。

高齢の進行性NSCLC患者に対する治療の選択肢を探るため、フランスの研究者らが70歳から89歳の患者451人に対して第3相臨床試験を実施した。患者はパクリタキセルとカルボプラチンとの併用化学療法またはゲムシタビンあるいはビノレルビンの単剤による化学療法のどちらかに割付けられた。

・ 併用化学療法を受けた患者の全生存期間は10.4カ月、単剤による化学療法を受けた患者については6.2カ月であった。
・ 併用化学療法を受けた患者の癌進行を伴わない生存期間は6.3カ月、単剤による化学療法を受けた患者については3.2カ月であった。
・ 併用化学療法の毒性は許容できるが、中等度から重度の好中球減少症(白血球数低値)が発現する可能性が増加した。

これらの結果は、高齢の進行性NSCLC患者が若年層の患者と同様の積極的治療の対象として判断可能であることを示唆している。

参考文献:

Quoix EA, Oster J, Westeel V et al. Weekly paclitaxel combined with monthly carboplatin versus single agent therapy in patients aged 70 to 89: IFCT-0501 randomized phase III study in advanced non-small cell lung cancer (NSCLC). Presented at the 2010 annual meeting of the American Society of Clinical Oncology. June 4-8, 2010. Chicago, IL. Abstract 2.


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翻訳担当者 滝澤美樹 

監修 小宮武文(呼吸器内科医/NCI研究員・ハワード大学病院)

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