サリドマイド/Thalomid(サリドマイド)の化学療法への追加は小細胞肺癌で生存を改善

キャンサーコンサルタンツ
2006年6月

Thalomid(サリドマイド)の化学療法への追加が進展型小細胞肺癌(SCLC)患者で生存を改善することがフランスの研究者らによって報告された。この研究の詳細は、アトランタ(ジョージア)で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2006年の年次総会で示された。
Thalomidは、いくつかの悪性腫瘍(特に多発性骨髄腫)の治療で評価中の薬である。その抗血管新生作用から、この薬は卵巣癌および肺癌で試験が行われている。

現在の試験は進展型SCLC患者119人において行われた。そして、全員は最初に、PCDE(4化学療法薬からなる)療法と称される化学療法を受けた。患者は、化学療法の各コースで予防的にNeupogen(filgrastim)を投与された。その後、PCDEへの抗癌反応が得られた患者にPCDE+プラセボ(不活性な代替薬)またはPCDE +Thalomidで治療を行い、治療群を直接比較した。

全体的な抗癌反応は、PCDE治療のみの62.8%と比較してThalomidを併用した治療群では81.6%の患者において達成された。

1年後、PCDE治療のみの患者では30%であったのに対して、Thalomid治療群の49%の患者が生存していた。PCDE治療のみの患者の生存期間中央値は約9ヶ月であったのに対し、Thalomid治療群の患者では1年であった。

また、患者の3分の1は、その治療に関連した副作用のためにThalomid治療を中止していた。重度の便秘と神経障害(手または足の麻痺、チクチク感、痛み)はThalomidを含む治療で、より多くみられた。

研究者は、Thalomidの化学療法への追加は進展型SCLC患者の生存を有意に改善すると結論づけた。しかし、Thalomidと関連する副作用によって、患者の3分の1は治療を中止せざるをえなかった。

コメント: 

これらは興味深い結果である。が、本文が発行され閲覧可能になった際は、データのレビューが重要である。この試験の化学療法の併用薬剤またはレジメンは抄録では特定されていないが、おおよそ、シスプラチン、シクロホスファミドとエトポシドとおそらくドキソルビシンなどであったと思われる。

参考文献:

 Pujol J, Breton J, Gervais R, et al. A Prospective Randomized Phase III, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Thalidomide in Extended-Disease (ED) SCLC Patients After Response to Chemotherapy (CT): An Intergroup Study FNCLCC Cleo04-IFCT 00-01. Proceedings from the 42nd annual meeting of the American Society of Clinical Oncology (ASCO). Atlanta, Ga. June 2006. Abstract # 7057.


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翻訳担当者 野中 希

監修 瀬戸山 修(薬学)

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