イレッサ(ゲフィチニブ) /イレッサ、一部の肺癌患者の初期治療で有効

キャンサーコンサルタンツ
2006年7月

日本の研究者らは、EGFR遺伝子変異を有する進行性非小細胞肺癌(NSCLC)に対して、イレッサ(ゲフィチニブ)による初期治療により75%の奏効率が得られたとの結果を報告した。第2相試験の詳細は2006年6月19日のJournal of Clinical Oncologyのオンライン迅速版で公開されている。

イレッサは上皮増殖因子受容体(EGFR)を選択的に阻害する経口剤である。従来の研究では、ごく少数のNSCLC患者だけがイレッサの恩恵を受けるとされていた。NSCLC患者においてイレッサが奏効するのは、細気管支肺胞上皮癌の組織型があり、EGFRの特異的突然変異が認められる女性であるとみられる。イレッサはアメリカ合衆国において治療抵抗性もしくは再発性疾患治療薬として承認されており、NSCLCの初期治療おけるイレッサについての報告はない。

近年日本の研究者は、化学療法の既往のない、ステージⅢBもしくはステージIVの16人の肺癌患者におけるイレッサの有用性を評価する目的で、対象に第2相臨床試験を実施した。この臨床試験において、すべての患者にEGFR遺伝子変異が認められている。

  1. 75%の患者に部分奏効がみられた
  2. 生存期間の中央値は9.7ヶ月であった。
  3. 治療による生命に危険を及ぼすような副作用は認められなかった。

研究者はEGFR遺伝子変異を有する進行性肺癌患者に対し、イレッサは安全で有効な初期治療をもたらすことを示唆した。研究者はこうした患者への初期治療として、イレッサと化学療法とを比較するための追加研究が必要であると言及した。

コメント

NSCLC患者の一部に対する初期治療として、化学療法より低い毒性で、かなり有効な緩和医療を提供する興味深い結果である。


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翻訳担当者 RIS

監修 榎本 裕(泌尿器科)

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