ステージIの非小細胞肺癌の術後化学療法は生存率に寄与するが、ステージII‐IIIAの非小細胞肺癌には寄与しない
キャンサーコンサルタンツ
2006年10月
経口薬であるUFT(ウラシルとテガフール)による1年間の術後化学療法は、ステージIの非小細胞肺癌(NSCLC)患者の8年生存を向上させたとの日本人研究者らによる発表があった。ステージII-IIIAの非小細胞肺癌患者への、更に強力なPlatinolⓇ(シスプラチン)ベースの化学療法には効果がなかった。この無作為試験の詳細は、British Journal of Cancerの2006年10月1日号に掲載された。
完全切除手術がなされた非小細胞肺癌に対する術後化学療法の有効性については、相反する報告もある。しかしながら、ある大規模試験では、術後化学療法により、ステージI-IIIAの非小細胞肺癌患者の生存を8%改善したとの報告もある。
最新の日本で行われた臨床試験は、無作為に割り付けられた172例の外科切除を行ったステージIの非小細胞肺癌患者172人に対して、UFTによる1年間の術後化学療法を無作為に割り付けて行うものであった。結果は、術後化学療法を受けたグループの8年生存率は74.2%であり、術後化学療法を受けなかったグループは57.6%であった。
研究者らは、さらに、95例の外科切除をおこなったステージII-IIIAの患者95人に対して、PlatinolとEldisineⓇ(ビンデシン)を2クール行った後、UFTを1年間服薬する臨床試験も行った。研究者らによると、術後化学療法を受けたグループと、受けなかったグループの結果に差はなかった。
コメント:
ステージI-IIIAの非小細胞肺癌に対する術後化学療法の有効性に関する研究は、異なる結果が出ており、試験の治療レジメンに関係していると思われる。しかしながら、アメリカにおいては、完全切除手術がなされた非小細胞肺癌に対する術後化学療法のベネフィットは一般的に受け入れられているように思われる。
参考文献:
Nakagawa K, Tada H, Akashi A, et al. Randomised study of adjuvant chemotherapy for completely resected p-stage I-IIIA non-small cell lung cancer. British Journal of Cancer . 2006;95:817-821.
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翻訳担当者 Nogawa
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