限局型小細胞肺癌に、化学療法と1日2回放射線療法を同時併用した後に地固め療法を行う方法が有望

キャンサーコンサルタンツ
2006年11月

1日2回の放射線療法およびエトポシド+シスプラチンによる標準的な療法を同時併用した後、イリノテカン+シスプラチンによる地固め療法を行う方法により、限局型小細胞肺癌(LD-SCLC)患者の治療成績を改善する場合があることが、日本の研究者らによって報告された。この第2相試験の詳細はJournal of Clinical Oncology誌2006年11月20日号に示されている。

米国で、小細胞肺癌はすべての肺癌の約25%を占める。小細胞肺癌は種々の化学療法剤や放射線療法に感受性を示す。しかし、選択肢となる薬剤や治療の順序に関してははまだ確定的ではない。SCLCの治療はプラチナベースの化学療法および放射線療法の併用となる。LD-SCLC患者で長期生存者はごくわずかである。現在、エトポシド+シスプラチンが第一選択薬とみられているが、最近の研究でイリノテカン+シスプラチンも同等に有効であることが示されている。化学療法、放射線療法は、順次併用よりも同時併用が一般に有効である。放射線療法は通常1日1回行うが、小分割照射法(1日2回か3回照射)には十分な根拠がある。

本研究では、エトポシド+シスプラチンと1日2回の放射線療法を同時併用した後にイリノテカン+シスプラチンによる地固め療法を行う方法を評価するために臨床試験を行った。本試験にはLD-SCLC患者49名が参加した。

・全奏効率は88%であった。
・完全奏効率は41%であった。
・無増悪生存期間中央値は12ヶ月であった。
・生存期間中央値は23ヶ月であった。
・2年生存率は49%であった。
・3年生存率は30%であった。
・主な副作用は好中球減少症、発熱性好中球減少症、感染症であった。

LD-SCLC患者には、化学療法、1日2回放射線療法を同時併用した後に地固め療法を行う方法が有望であると結論づけられた。

コメント:

これらのデータはLD-SCLC患者に関する従来の研究と同等であるとみられるが、本法が優れているかどうかはランダム化試験によってはじめて明らかにされるであろう。本法の副作用はNeupogenR(フィルグラスチム(グラン))やNeulastaR(ペグフィルグラスチム)の投与によって軽減する可能性がある。

参考文献:

Saito H, Takada Y, Ichinose Y, et al. Phase II Study of Etoposide and Cisplatin With Concurrent Twice-Daily Thoracic Radiotherapy Followed by Irinotecan and Cisplatin in Patients With Limited-Disease Small-Cell Lung Cancer: West Japan Thoracic Oncology Group 9902. Journal of Clinical Oncology. 2006;24:5247-5252.


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翻訳担当者 Yukku

監修 瀬戸山 修(薬学)

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