アムルビシンが再発性や難治性小細胞肺癌に有効
キャンサーコンサルタンツ
2006年12月
日本の研究者らの報告によると、難治性や再発性小細胞肺癌(SCLC)患者に、アントラサイクリン系新化合物アムルビシンを投与した場合の奏効率は50%であった。この第2相臨床試験の詳細は、Journal of Clinical Oncology誌2006年12月1日号に掲載されている。
小細胞肺癌は、アドリアマイシン®(ドキソルビシン)等の多様なアントラサイクリン系化学療法薬剤に対し、非常に高い感受性を示す。しかし、アントラサイクリン系薬剤はまた、早期および末期心臓疾患に関与するため、その使用が制限される。アムルビシンは日本人が開発した、完全に合成のアントラサイクリンであり、現在第1/2相臨床試験が行われている。動物実験では、この合成薬剤に心毒性はほとんどみられなかった。過去に日本で実施された第1/2相臨床試験において、ピアチノールl®(シスプラチン)とアムルビシンの併用は、新規に進展型SCLCと診断された患者に対し有意な効果が認められた(関連ニュース参照)。その試験の全奏効率は87.8%であった。平均生存期間は13.6ヶ月、1年生存率は56.1%であった。
今回の試験では、難治性(n=16)および反応性(n=44)再発性小細胞肺癌患者60症例に、3週間毎に3サイクルでアムルビシンを投与した。主な副作用は血液に関するもので、貧血、白血球減少、血小板減少症であった。発熱性好中球減少症値は5%にみられた。全奏効率は難治性群で50%、反応性群で52%であった。2症例においては完全寛解がみられた。無増悪中央生存値は、難治性群で2.6ヶ月、反応性群で4.2ヶ月であった。1年生存率は難治性群で40%、反応性群で46%であった。研究者らはアムルビシンが再発性や難治性の小細胞肺癌に有望な効果を示した、と結論づけた。彼らは他の細胞毒性薬との併用での追試験を提案している。
コメント:
心毒性を排除するように開発された完全な合成薬について、有意な効果を示した本試験は非常に重要である。残念ながら本剤の市販にはまだしばらく時間を要する。しかし心毒性が懸念される場合でも、アドリアマイシンよりも心毒性が低い、ドキシル®などが現在FDA認可済である。
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効
2024年11月18日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる
2024年11月7日
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)
2024年10月17日
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長
2024年10月16日