アトバコンは小児のカリニ肺炎に効果的な感染予防法

キャンサーコンサルタンツ
2007年5月

セントジュード小児研究病院の研究者らは、アトバコン(Mepron®, Malarone®) が白血病の小児らのカリニ肺炎に対して効果的な感染予防法であると報告した。この研究の詳細は、2007年4月15日発行のCancerに掲載された。[1]

カリニ肺炎は、白血病の小児を含む免疫抑制患者に一般的な感染症である。トリメトプリム-スルファメトキサゾール(TMP-SMZ, Bactrim®, Septra®)は、免疫抑制小児及び成人患者のカリニ肺炎を防止するために選択される通常の薬剤である。しかし、TMP-SMZに対する耐性またはアレルギーは一般的に見られ、減感作が常に効果を挙げるとは限らないため、代替薬剤が必要となる。アトバコンは、免疫抑制がある成人患者のカリニ肺炎の治療と防止に効果を示す抗マラリヤ薬剤で、HIV感染症患者に多く使用されている。アトバコンはまた、TMP-SMZが有効でないカリニ肺炎患者の治療にも効果を示す。[2] 

この研究では、TMP-SMZに対して耐性を示す小児白血病患者86人がカリニ肺炎予防のために毎日アトバコンを投与された。この研究では、どの患者もカリニ肺炎を発症しなかった。この薬剤の忍容性は良好であることが報告された。

コメント

薬剤の感受性または耐性の理由から、TMP-SMZ予防法の代替法が必要である。アトバコンンは、小児らにこの用途の選択肢の薬剤であることが明らかである。

参考文献
1] Madden RM, Pui C-H, Hughes WT, et al. Prophylaxis of Pneumocystis carinii pneumonia with atovaquone in children with leukemia. Cancer 2007;1654-1658.
[2] Amego RA, Nagar S, Maloba B, et al. A meta-analysis of salvage therapy for Pneumocystis carinii pneumonia. Archives of Internal Medicine 2001;161:1529-1533.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 藤井 哲郎

監修 瀬戸山 修(薬学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性の画像

肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性

世界的に肺がんはがんによる死亡原因のトップであるが、その心理的、身体的な影響についてはほとんど研究されていない。オハイオ州立大学総合がんセンター アーサー・G・ジェームズがん病院および...
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライトの画像

欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト

ESMOアジア会議2024は、アジア地域における集学的腫瘍学に特化した年次イベントである。新しい治療法、特定のがん種の管理に関する詳細な議論、アジア全域を対象とした臨床試験、アジア地域...
米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認の画像

米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認

2024年12月4日、米国食品医薬品局は、以下の成人を対象にzenocutuzumab-zbco[ゼノクツズマブ-zbco](Bizengri[販売名:ビゼングリ]、Merus NV社...
STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効の画像

STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効

進行非小細胞肺がんでSTK11/KEAP1変異を有する患者への併用療法により転帰が改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...