イレッサが奏効し、その後進行した非小細胞肺癌(NSCLC)患者にタルセバが有効である可能性
キャンサーコンサルタンツ
2007年6月
韓国の研究者グループからの報告によると、イレッサ(ゲフィチニブ)による治療を受けたのち病勢の安定したNSCLCに対して、タルセバ(エルロチニブ)が有効である可能性があるとのことである。この研究の詳細については2007年6月20日発行のJournal of Clinical Oncologyにおいて報告された。
タルセバおよびイレッサは一部のNSCLC患者に有効なチロシンキナーゼ阻害剤である。よく奏効する腫瘍は腺癌や細気管支肺胞癌と思われ、非喫煙者や女性により多く発生する癌である。また上皮増殖因子受容体(EGFR)に特定の遺伝子変異がある患者にも奏効する。NSCLCの治療においてタルセバとイレッサを組み合わせて使用しても効果は得られないと見られているが、別々に続けて使用する場合に関する報告はこれまでされていなかった。
臨床試験はあらかじめ2~3回の化学療法およびイレッサによる治療を受けた21人の患者を対象とした。イレッサによる治療中断後、4ヶ月以内に癌が進行した患者がタルセバによる治療を受けた。11人が女性、16人が腺癌患者であり、11人は喫煙歴がなかった。17人の評価可能な患者のうち5人はEGFRに遺伝子変異があった。
病勢コントロール率は29%、全奏効率は10%であった。病勢コントロール
期間の中央値は125日であった。全生存期間の中央値は158日であった。
(注*効果判定用語についてはこちら)
● イレッサによる治療で病勢の安定を得られた患者はタルセバによる治療で75%が癌をコントロールすることができた。
● イレッサによって病勢の安定を得られなかった患者のうち、タルセバによる治療で癌をコントロールできたのは17.6%のみであった。
● イレッサによる治療で病勢が安定した患者のうちでは、EGFRに変異のない患者の方が、変異のある患者よりも、癌のコントロール率および癌の退縮率が有意に高かった。
研究者グループは当初イレッサで病勢をコントロールでき、かつEGFRに遺伝子変異がない患者は、癌が進行した場合にタルセバによる治療効果が得られると思われると結論づけた。NSCLCが再発した患者はタルセバによる治療を自分が受けた場合の効果と危険性について主治医との相談を望むであろう。
コメント:
これらのデータは、イレッサとタルセバをNSCLC患者に別々に続けて使用することが、初期の治療が奏効した患者の場合は有効である可能性を示唆したものである。
参考文献:
Chul Cho B, Im C-K, Park M-S, et al. Phase II study of erlotinib in advanced non small cell lung cancer after failure of gefitinib. Journal of Clinical Oncology. 2007;25:2528-2533
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性
2024年12月21日
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト
2024年12月20日
米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認
2024年12月17日
STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効
2024年11月18日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...