血管破壊剤ASA404は肺癌の生存期間を改善する

キャンサーコンサルタンツ
2007年8月

Antisoma社のプレスリリースによると、小分子の血管破壊剤(ASA404)は非小細胞肺癌(NSCLC)患者での抗腫瘍効果と生存期間を改善する。全生存率および無増悪期間を含む詳細なデータは韓国・ソウルで開かれる2007年世界肺癌会議で発表される。[1]

癌細胞は血液から酸素と栄養分の供給を受け、さらに老廃物を排泄するために血管に依存している。血管新生阻害剤と呼ばれる薬剤は血管の新しい形成を妨害し、癌細胞の新たな増殖と転移を停止、または減少させる。いくつかの血管新生阻害剤がFDAによって承認されている一方、他の血管新生阻害剤は様々なタイプの癌の治療に対して臨床試験中である。以前にDMXAA、AS1404と命名されたASA404は血管破壊剤(VDA)で、主に新しい血管の形成を阻害する他の血管新生阻害剤とは異なっている。

ホルモン不応性前立腺癌の患者を対象にした、タキソテール (ドセタキセル)とASA404を併用投与、またはタキソテールを単独投与したランダム化試験の結果が2007年度の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された。[2]  この臨床試験には74例の患者が登録され、ASA404投与群で有意に高いPSAに対する効果がみられたが毒性の有意な増加はなかった。また、ASA404投与群の無増悪期間が短くなったことも明らかになった(監修 者注:PSAの増悪率が低かったことを記者が誤解して表記したものと思われる)。

2006年度のASCOで発表された第2相臨床試験では、新たに進行NSCLCであると診断された患者において、ASA404とプラチノールR(カルボプラチン+タキソールR (パクリタキセル) の併用で奏効率が上昇することが示唆された。[3]

Antisoma社は、以前のASA404を評価するために実施した第2相ランダム化臨床試験について言及した。本試験では、進行NSCLCの患者に対してASA404+パラプラチン/タキソールまたはパラプラチン/タキソール単独で治療が行われた。この臨床試験結果は、同社のウェブサイトによれば以下のように記載されているが、参考文献は記載されていない。

・ASA404と化学療法を併用した患者の生存期間の中央値は14ヶ月であったのに対し、化学療法単独の患者の生存期間の中央値は8.8ヶ月であった。
・ASA404による治療の認容性は良好であった。

世界肺癌会議 (World Lung Cancer Conference)で発表される研究では、以前の臨床試験より高用量のASA404が評価された。この試験では進行NSCLC患者がASA404+パラプラチンR (カルボプラチン)およびタキソールR (パクリタキセル)の治療を受けた。全体として、患者の50%に抗腫瘍効果がみられた。無増悪期間と1年生存率を含むデータが2007年の年末に出る予定である。NSCLCを対象とした第3相ランダム化試験は2008年に開始される。

研究者らは、ASA404は進行NSCLCの治療に対して効果が期待できると結論付けた。第3相臨床試験の患者登録は2008年に始まる予定である。

コメント:
これらの臨床試験の結果は、化学療法にASA404を併用することは、進行NSCLCとおそらく他の癌の患者治療に大きな意味を持つ併用である可能性があることを示唆している。

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翻訳担当者 吉村 祐実

監修 島村 義樹(薬学)

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