肺癌の病期分類において低侵襲性の超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診は経気管支穿刺吸引より優れる
キャンサーコンサルタンツ
2008年2月
超音波気管支内視鏡下穿刺吸引細胞診(EBUS-FNA)および食道超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)は、経気管支的吸引細胞診(TBNA)に比べ肺癌の縦隔への転移を高精度に検出できると、メイヨークリニックの研究者らが報告した。本研究の詳細はJournal of American Medical Association誌2008年2月6日号に掲載された。
肺癌患者を評価する重要な指標のひとつに進展度、特に縦隔リンパ節への進展(転移)の程度がある。肺癌の病期分類によく行われる縦隔鏡検査は全身麻酔を必要とする。他の手法としてTBNA、EBUS-FNAおよびEUS-FNAがある。
今回の研究では、次に示す低侵襲性の縦隔検査法3種を比較した。
・ 従来の経気管支的吸引細胞診(TBNA)
・ 超音波気管支内視鏡下穿刺吸引細胞診(EBUS-FNA)
・ 食道超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)
超音波の利用の有無に違いはあるが、いずれも内視鏡を用いながら細く小さな針で組織もしくは液を採取する手法である。EBUS-FNA、TBNA、およびEUS-FNAとEBUS-FNAの併用について、いずれのアプローチが胸部リンパ節への癌の転移を高感度に検出するか、直接比較を行った。検出感度は、リンパ節に癌細胞が存在した場合の検出率により評価した。
本研究は、米国内で肺癌が疑われる患者138名を対象に実施した。各患者には3種の検査を一連の複合した手技として連続して施行した。
結果、患者42例(30%)より悪性リンパ節が発見された。
EBUS-FNAはTBNAより高感度に悪性リンパ節を検出した。EBUS-FNAは29例(69%)で悪性リンパ節を検出したが、TBNAでは15例(36%)であった。
EUS-FNAとEBUS-FNAの併用は93%とはるかに高感度であり、各検査法を単独で実施した場合よりも優れていた。この検査法の組み合わせは、胸部CTスキャンでしか検出できないような腫大していない悪性リンパ節も正確に検出することができた。
これらの所見は、EBUS-FNAとEUS-FNAの併用がTBNAより優れていることを示唆している。このように低侵襲の手法を併用することで、肺癌の疑いのある患者の正確な診断や評価が可能となると思われる。本研究結果は他の研究により再確認される必要があるが、内視鏡を用いた手法を併用するこのアプローチが、肺癌の疑いのある患者を評価するうえで、侵襲性の強い現在の標準的な検査法の代替として実行可能な手法であると示唆される。
コメント:
これらのデータは肺癌患者の病期分類において侵襲性の低いアプローチを支持するものである。
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