進行肺癌におけるアービタックスへの反応性と発疹の関連
キャンサーコンサルタンツ
2011年1月
アービタックス(セツキシマブ)と化学療法の併用療法を受けた進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者で、発疹の副作用が発現した場合は治療への反応性が高い可能性がある。この第3相臨床試験の結果がLancet Oncology誌に掲載された。
非小細胞肺癌(NSCLC)は肺癌のおよそ85%を占めている。進行NSCLCでは癌が肺の外に広がっており、この病期の標準治療には化学療法が含まれる。進行NSCLCの生存率が良好とは言えないため、転帰を改善する新たな治療法の模索が続いている。
アービタックスは、上皮成長因子受容体(EGFR)というタンパク質の一部に結合して癌の成長を阻害する標的治療薬である。EGFRは、NSCLCなど多くの癌細胞の表面に存在する。アービタックスは現在、進行頭頸部癌または進行大腸癌で一定の条件を満たす患者の治療に承認されている。
アービタックスでよくみられる副作用は、ざ瘡様発疹である。これまでにも、この発疹が発現する患者にはアービタックスが臨床的に有用であるといわれてきた。
研究者は、進行NSCLCにおいてアービタックスと化学療法の併用群と化学療法単独群を比較する、FLEX(First-Line in Lung Cancer)臨床試験に登録された患者のサブグループ解析を実施し、治療の初回サイクル(21日間)にざ瘡様発疹が発現したかどうかと治療の転帰の関連を調べた。
•アービタックスと化学療法の併用群で、治療の初回サイクルに発疹が発現した患者の生存期間(15カ月)は、発疹が発現しなかった患者(8.8カ月)より長かった。
•無増悪生存期間も、発疹が発現した患者(5.4カ月)のほうが発現しなかった患者(4.3カ月)より長かった。
•全生存率を癌細胞の種類(腺癌、扁平上皮癌、その他の癌)に基づいて評価したところ、すべてのグループで発疹と臨床的有用性の間に有意な相関があった。
アービタックスと化学療法の併用治療の初回サイクルで発疹が発現した進行NSCLC患者は、同じ治療で発疹が発現しなかった患者より生存率が改善しているように見える。この結果が確認されれば、医療提供者はアービタックス治療の有用性が見込める患者を特定しやすくなると考えられる。
参考文献:
Gatzemeier U, von Pawel J, Vynnychenko I, et al.First-cycle rash and survival in patients with advanced non-small-cell lung cancer receiving cetuximab in combination with first-line chemotherapy:a subgroup analysis of data from the FLEX phase 3 study.The Lancet Oncology [early online publication].December 20, 2010.
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