新規治験薬(PF299804) が非小細胞肺癌(NSCLC) の進行を遅らせる

キャンサーコンサルタンツ

新規治験薬PF299804 (PF-299)は、化学療法による治療後に進行した、進行性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、タルセバ(エルロチニブ)と比較して、無増悪生存期間を向上させる。これらの結果は最近、第14回世界肺癌会議で発表された。

肺癌は依然として米国における癌による死因の第1位である。非小細胞肺癌(NSCLC)は、肺癌全体の約85%を占める。

タルセバは、上皮成長因子受容体(EGFR)経路と呼ばれる、生物学的経路を阻害することで効果を示す標的治療薬である。EGFR経路は、細胞の成長および複製に関与している。NSCLCの初期化学療法が有効でなかった場合、タルセバは治療目的で、または維持療法として使用される。維持療法とは、初期治療後、癌が進行する前に行われる治療方法をいう。

PF299804はEGFRおよび別の2つの関連受容体、つまりHER2とHER4を標的とする臨床試験中の治験薬である。PF299804は標的と不可逆的に結合する。

化学療法の治療歴があり、疾患がさらに進行したNSCLC患者を対象とし、PF299804をタルセバと比較する国際的臨床試験が最近実施された。試験には188例が組み入れられ、一方の群はタルセバ投与を受け、他方の群はPF299804投与を受けた。

• 無増悪生存期間中央値は、タルセバ群(8.3週)と比較して、 PF299804群(12.4週)で有意に改善された。
• 全生存期間は二群間で有意差はなかった(PF299804 群で9.6ヵ月、タルセバ群で7.5ヵ月)。
• PF299804群の7例およびタルセバ群の3例では副作用のため投与を中止した。

化学療法の治療歴があるNSCLC患者において、タルセバと比較してPF299804は癌が進行するまでの時間を有意に改善した。化学療法の治療歴がある患者群でPF299804をタルセバと比較する第3相臨床試験を実施中である。

参考文献:

Boyer M, Blackhall F, Barrios C, et al. Overall Survival (OS) Results of a randomized phase 2 trial of PF299804 versus erlotinib in patients with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) after failure of chemotherapy. Paper presented as a late-breaking abstract at the 14th World Conference on Lung Cancer. July 3-7, 2011. Amsterdam, Netherlands. Abstract O10.07.


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翻訳担当者 可部 真知子

監修 辻村 信一(獣医学/農学博士・メディカルライター)

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