AACRは、メンソールタバコとフレーバー付き葉巻を禁止するバイデン政権の計画に賛同

本発表は、科学的根拠を示してメンソールタバコ禁止を求めた2013年の市民請願に応えたものである

米国がん学会(AACR)は、バイデン政権、米国保健福祉省、および米国食品医薬品局(FDA)が、メンソールタバコ、ならびに若者に人気のある小型の葉巻を含む、大量生産されたメンソールやその他のフレーバー付きタバコを禁止する計画を発表したことに称賛の意を表した。

メンソールタバコは、タバコ市場全体の約3分の1を占めており、アフリカ系アメリカ人、若者、女性、ヒスパニック系、社会経済的地位の低い人々に好まれている。タバコ会社の内部資料によると、メンソールタバコの市場占有率を維持・拡大するため、特にアフリカ系アメリカ人や都市居住者をターゲットにして、積極的なマーケティングや販売戦略を行っていたことが明らかになった。

「AACRは、先日のFDAの決定のきっかけとなった市民請願書に署名するなど、10年にわたってメンソールやその他のフレーバー付きタバコ製品の危険性に関する意識啓発に取り組んできました」と、イェール総合がんセンター腫瘍内科部長でAACRのタバコ製品およびがん小委員会(AACR’s Subcommittee on Tobacco Products and Cancer)の議長であるRoy S. Herbst医学博士は語った。「これらフレーバー付きタバコを禁止することは、最も弱い立場にあるアメリカ人を食い物にし、健康格差の原因となる略奪的な業界の慣行に取り組むきわめて重要なスタートとなります」。

メンソールの清涼感と麻酔作用は、タバコの苦味やタバコの煙に対する感覚を鈍らせる。2009年の「家族喫煙予防とタバコ規制法」(タバコ規制法)により、議会がフレーバー付きタバコを禁止した際、議員たちは人気の高いメンソールタバコを市場に残すことを許可し、FDAにはメンソールタバコが公衆衛生に与える影響を調査するよう求めた。

メンソールタバコは、特に若年層における喫煙開始者の増加および習慣的喫煙への移行、タバコへの強い欲求や依存の増加、特にアフリカ系アメリカ人における禁煙成功率の低下など、多くの公衆衛生問題に関連している。

AACRの最高経営責任者であるMargaret Foti名誉医学博士は、次のように語った。「AACRは数十年もの間、喫煙の抑制、タバコ関連疾患の減少、喫煙およびそれに伴う疾患の格差縮小を目的とする政策の作成と支持において最前線に立ってきました」。「喫煙はあらゆるがんの死亡者数および発生症例の30%を占めており、肺がん、頭頸部がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、子宮頸がんを含む、ヒトにおける18種のがんと因果関係があることから、先日のバイデン政権によるメンソールタバコ禁止措置は、公衆衛生を守り、がんの健康格差を縮小し、命を救うこととなるのです」。

*サイト注:MDアンダーソンがんセンターも同様に支持表明発表(英語。ご使用のブラウザの日本語自動翻訳をご利用ください)

翻訳担当者  平 千鶴

監修 前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

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