若者の電子タバコによる受動喫煙が増加
電子タバコを吸う人と生活を共にしたりその周りにいたりすることで、電子タバコによる受動喫煙にさらされている中高生が増えていると、米国の全国調査データが伝えている。
このような受動喫煙は、2018年の調査では、2015年から2017年の3年間に比べて急速に増加したと、ダナファーバーがん研究所の研究者らがJAMA Network Open誌の8月28日付リサーチレターで報告している。今回の分析は、米国疾病対策予防センターによる全国青年タバコ調査(National Youth Tobacco survey)で収集したデータを用いて行った。
調査によると、2018年には、中高生の約3分の1が電子タバコの受動喫煙にさらされたと回答しており、直近の3年分の調査結果と比べて約30%増加していると、本報告の担当著者であるダナファーバーのAndy S.L. Tan医師/公衆衛生学修士/医学士は語る。同医師は、一連の有害な化学物質が電子タバコから放出されることから、この受動喫煙の増加を「懸念すべき状況」とした。電子タバコの煙霧には、ニコチン、重金属、アルデヒド、グリセリン、香料などのさまざまな化学物質が含まれている。「大多数の研究で、受動喫煙は、喫煙者の近くにいる人、特に子どもや10代の若者など有害物質の影響を受けやすい年齢層に健康リスクをもたらす可能性があるとの結論に達しています」とTan医師は言う。
電子タバコによる受動喫煙が増加している一方、従来のタバコによる受動喫煙も依然として深刻な公衆衛生上の懸念であることも調査により判明したという。調査に参加した生徒の約半数が従来のタバコの受動喫煙を報告しており、Tan医師はそのような受動喫煙は電子タバコの煙霧よりもはるかに有害であるという。「したがって、たばこの種類にかかわらず受動喫煙から若者を保護する政策を講じて、受動喫煙を減らすことは今なお最重要課題であると認識しなければなりません」とTan医師は語る。同医師は、ダナファーバーの集団科学部門の地域拠点調査センターの研究者である。
この調査では、参加者に対し、過去30日間に屋内外問わず公共スペースにてタバコ製品/電子タバコを吸う人からの煙/煙霧を吸った頻度を尋ねた。
電子タバコによる受動喫煙にさらされた生徒は、2015年から2017年ではおよそ4人に1人であったが、2018年には3人に1人に増加した。16州および800を超える自治体が、学校を含む完全禁煙エリアなどの場所で電子タバコを制限する法律を導入しているにもかかわらず、過去数年でこのような増加が認められたと、報告書にある。
「電子タバコを含むあらゆる種類のタバコ製品の放出物質に若者がさらされるのを防ぐために、親や若者に対する受動喫煙の害についての教育や若者の電子タバコ使用を減らす取り組みが必要である」と、研究者らは加えている。
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