少なくとも70カ国で3億人以上が無煙タバコを使用
米国国立がん研究所(NCI)/米国疾病対策予防センター(CDC)プレスリリース
原文掲載日 :2014年12月15日
無煙タバコの世界的な使用と公衆衛生への影響に関する世界初となる今回の報告では、少なくとも70カ国で3億を超える人々が、この有害な製品を使用しているという。『無煙タバコと公衆衛生:世界的展望』というこの論文は、インド・ムンバイで開催された喫煙と健康に関する国際会議において、米国疾病管理予防センター(CDC)と米国国立癌研究所 (NCI)により本日発表された。同論文には、世界中有数の専門家32人が執筆している。
論文では、無煙タバコによる健康への深刻な影響が述べられている。同論文が示すように、無煙タバコがヒトの口腔癌、食道癌、膵臓癌の原因となることを結論づける十分な証拠が存在する。無煙タバコ製品は、30を超える発癌物質を含有することが認められている。また、無煙タバコの使用は、口腔粘膜病変、白斑症、歯周病といった口腔健康の有害な転帰をもたらす。
加えて、 無煙タバコ製品はニコチンを含有するため、使用者は、紙巻きタバコの使用者と同様、反復使用に対する耐性や、禁煙による禁断症状といった依存の徴候を示す。同論文では、無煙タバコ製品による深刻かつ裏付けも十分にある健康への影響が列挙されていることに加え、無煙タバコ使用による影響を軽減するための独自の課題や解決策についても検討されている。例えば、多種多様な無煙タバコ製品が世界中で使用されているにも関わらず、含有物、使用方法、各人口集団での普及率に関する詳細なデータは限られている。さらに、無煙タバコ製品の製造、販売、使用、規制方法が、国や地域で大きく異なっている。
「タバコに関連する死亡や疾患から命を救うため、南アジアでは、無煙タバコの喫煙予防や規制を最優先事項にすることが重要です」と、口腔外科学博士・公衆衛生学修士でCDCの喫煙と健康対策室世界タバコ規制支部長のSamira Anma氏は述べる。「無煙タバコの使用が非常に普及している国々では、緊急措置が必要です。無煙タバコ使用の削減は、国際的な禁煙戦略や規制戦略の不可欠な要素とすべきです」。
論文では、無煙タバコ使用者の大多数(89%)は東南アジア在住であり、同地域の口腔癌罹患率が世界一であることも報告されている。インドおよびバングラデシュの無煙タバコ使用者が全世界の80%を占めている。男性での普及率は東南アジアのほとんどの地域で高く、そのうち5カ国では25~51%である。一方、低所得国または中所得国では、成人女性の使用率が男性の使用率と同等かそれを上回る場合がある。東南アジア地域では、13~15歳の若者での普及率も高く、紙巻きタバコの普及率と同程度である。
「無煙タバコ使用による健康への悪影響については十分な裏付けがありますが、全世界に及ぶ無煙タバコによる影響の軽減に有効な取り組みを支援するため、今まで以上の調査や観察の試みが絶対不可欠です」とNCIタバコ規制調査支部の疫学者、Mark Parascandola博士・公衆衛生学修士は述べる。
無煙タバコ使用の普及率が高い国々では、紙巻きタバコやその他のタバコ製品と比べて、無煙タバコの価格は安く、警告表示はゆるく、サーベイランスはあまり発達していない。また、根拠に基づく禁煙介入はあまり行われておらず、禁煙や規制プログラムにあてる医療資源も少ない。特に無煙タバコによる影響が大きい低所得国や中所得国で有効な戦略を策定し実行するためには、公衆衛生の能力を高めることが求められる。
無煙タバコの使用はニコチン中毒につながる可能性があり、それにより禁煙がさらに困難になる場合がある。無煙タバコ製品は、癌の原因となることに加え、死産、早産、低出生体重など、生殖や発達に悪影響を及ぼす原因ともなる。また全てではないが、一部の無煙タバコ製品は、致死性虚血性心疾患、2型糖尿病、致死性脳卒中のリスク上昇に関連することが認められている。
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