Jakafi(ジャカフィ)は骨髄線維症の生存期間と生活の質を改善する
キャンサーコンサルタンツ
中間リスクまたは高リスクの骨髄線維症患者で、Jakafi(ジャカフィ)(ルキソリチニブ)により、脾容積の減少、症状緩和、全生存率の改善を認めた。この第3相試験の結果は、New England Journal of Medicine誌上で発表された。
骨髄線維症は慢性疾患で、その特徴は骨髄内での造血幹細胞の異常増殖と瘢痕組織の形成である。骨髄線維症の症状は、倦怠感、息切れ、腹部不快感、肋骨下痛、腹部膨満感、筋肉や骨全体の疼痛、掻痒感、ならびに、寝汗である。ほとんどの患者で脾臓の腫大を認め、また、肝臓の腫大を認めるものも多い。
骨髄線維症の症状を呈している患者に対する従来からの治療法は、輸血療法、薬物療法、放射線療法、脾臓摘出術、または、造血幹細胞移植である。
Jakafiは、骨髄線維症の治療に対して特定承認された最初の薬剤である。Jakafiは経口投与剤で、骨髄線維症に関与する2種の酵素—JAK(ヤヌスキナーゼ)1 と JAK2—を阻害する。
今回の試験では、米国内の89施設の患者309人が登録された。患者は、中間‐2リスクまたは高リスクの骨髄線維症に罹患していた。全患者の半数をJakafi投与患者として割り付け、残り半数をプラセボ投与患者として割り付けた。
- 脾容積の顕著な減少(容積の35%以上減少)はJakafi投与患者の42%で認められたのに対し、プラセボ投与患者では1%未満であった。
- 症状合計スコアの50%以上減少はJakafi投与患者の46%で認められたのに対し、プラセボ投与患者では5%であった。
- 約1年後に、Jakafi投与患者の8%が死亡したのに対し、プラセボ投与患者では16%が死亡した。
- 貧血と血小板減少症は、プラセボ投与患者よりもJakafi投与患者で、より高頻度で生じた。しかし、ほとんどの場合いずれも管理可能であった。
- Jakafiは骨髄線維症によって生じた骨髄障害を改善しなかった。
これらの結果から、Jakafiは、中間リスクまたは高リスクの骨髄線維症患者で、生活の質と生存期間を改善する事実が示された。Jakafiは、この様な骨髄線維症患者に対する重要な新規の治療選択肢になる。
参考文献:
Verstovsek S, MesaRA, Gotlib J et al. A double-blind, placebo-controlled trial of ruxolitinib for myelofibrosis. New England Journal of Medicine. 2012;366:799-807.
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