Flotyn(フォロチン)™:末梢T細胞リンパ腫の治療用に米国FDAがはじめて承認した薬剤

キャンサーコンサルタンツ
2009年9月

2009年9月25日、米国食品医薬品局は、Folotyn(フォロチン)™(pralatrexate(プララトレキサート))を末梢T細胞リンパ腫(PTCL)の治療用に承認した。これは、PTCLの治療のために特に承認された最初の薬剤である。この承認の根拠は、国際的なPROPEL(「再発性または難治性末梢T細胞リンパ腫患者へのpralatrexate(プララトレキサート)投与(Pralatrexate in patients with Relapsed OR refractory PEripheral T-cell Lymphoma)」の頭字語)試験であった。PROPEL試験の最新情報は、2009年9月20日から24日にベルリンで開催されたJoint ECCO 16 -34th ESMO合同会議で発表されている。[1]

T細胞リンパ腫は、比較的一般的でない非ホジキンリンパ腫(NHL)であるため、B細胞NHLに対する治療にはあまり反応しない。過去10年間B細胞NHLの患者はリツキサン®(リツキマシブ)により大いに救済されてきたが、T細胞リンパ腫の治療では、これに匹敵するT細胞抗体が存在しない。T細胞リンパ腫患者の治療では、自家幹細胞移植をともなう高投与量の化学療法が用いられ、ある程度成功してきた。しかしながら、自家幹細胞移植の後でも、疾病再発の確率は高い。同種幹細胞移植はより治癒の可能性が高いアプローチであるが、移植に関係する死亡率が高い。PTCL治療の最適アプローチはいまだ不確定なままであり、多くの患者で予後が悪い。

Folotyn(フォロチン)は、核酸の製造などの細胞プロセスに関与する葉酸依存酵素であるジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を抑制する。Folotyn(フォロチン)は、還元型葉酸担体(RFC-1)により腫瘍細胞に運ばれる小型分子化学療法物質であり、いったん腫瘍細胞の中に入ると、効果的に保持されるように設計されている。

PTCLの治療に関してFolotyn(フォロチン)を評価するために、研究者たちは再発性または難治性PTCLの患者115人を対象に第2相臨床試験を実施した。調査参加者はFolotyn(フォロチン)の静脈注射を、ビタミンB12および葉酸摂取とともに受けた。

109人の患者が奏効に関して評価可能となり、次のように、これが現在の分析の主要な結論であり、FDA認可の根拠となっている。

27%の患者が治療に完全または部分的に奏効した。
10%の患者(109人中11人)が完全寛解した。
17%の患者(109人中18人)が部分寛解した。
65歳以上の患者では、奏効率は31%であった。
65歳未満の患者では、奏効率は27%であった。
男性患者の奏効率は27%であり、女性患者の奏効率は26%であった。
前治療が1レジメン、2レジメンおよび3レジメン以上患者の奏効率は、それぞれ26%、21%および30%であった。

著者

らは次のように結論づけている。この調査では、Pralatrexate(プララトレキサート)[Folotyn (フォロチン)]の効果は、年齢、性別、以前の治療法の数に無関係であり、若年コホートと比較して年長者で反応が向上する傾向があり、この年齢コホートにおいて、再発性PTCLの管理でPralatrexate(プララトレキサート)が治療の選択肢となり得ることが示されている。

コメント:
Folotyn (フォロチン)は、まだ対処されていない医療上の必要性を満たすために早期の薬剤承認を可能にする、FDAの迅速承認プロセスにより承認された。Folotyn (フォロチン)は、再発した患者や他の種類の化学療法にあまりよく反応しない患者向けに承認されている。

参考文献:
[1] O’Connor O, Coiffier B, Zinzani PL, et al. Pralatrexate treatment response by key baseline parameters in the pivotal, multicenter, phase 2 study in relapsed or refractory peripheral T-cell lymphoma (PROPEL). European Journal of Cancer Supplements, Vol 7 No 2, September 2009, Page 561, abstract O-9205.


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翻訳担当者 桝谷 哲

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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