骨髄移植における生存率向上の一方で晩期死亡率への懸念
本人の細胞を使った骨髄移植を受けた患者の平均寿命は一般の人に比べて短いことが、アラバマ大学バーミンガム校Institute for Cancer Outcomes and Survivorshipの責任者でオニール総合がんセンターの上級研究者であるSmita Bhatia医師の研究により明らかになった。
Journal of Clinical Oncology誌に掲載されたこの研究では、骨髄移植を受けた患者の寿命は平均で7年短いが、治療の進歩によりこの死亡率の差は縮小していることがわかった。
「これらの結果を見ると、自家末梢血幹細胞移植または自家骨髄移植を受けた患者の晩期死亡率をさらに改善させるために、医師が感染症、二次がん、心血管疾患および腎疾患発症の可能性に注意する必要性が浮かび上がります」とBhatia医師は述べている。
米国では、骨髄移植と寿命の関連に対する懸念が高まっている。米国在住の骨髄移植患者数は、2030年までに現在の5倍の50万人以上にまで増えるという予測もある。
「この研究の目的は、治療後長期的な健康問題のリスクが高いがんサバイバーを予測できる患者の特質を見つけ出し、医療従事者が行うスクリーニングやその他の介入の調整に役立てることです」と、Bhatia医師は言う。
この研究は、1981年から2014年の間に自家骨髄移植を受け、その後2年以上生存した4702人の患者を対象に行われ、期間を1981~1999年、2000~2005年、2006~2010年、2011~2014年の4期に分割し、結果を比較した。
移植後5年の死亡率はこの4期にわたり低下し、ホジキンリンパ腫または形質細胞異常症の患者に対する骨髄移植においてもっとも顕著な低下がみられた。非ホジキンリンパ腫や、全身照射をともなう前処置で骨髄移植を受けた患者では、同様の死亡率の低下はみられなかった。骨髄移植後の平均損失生存年数を算出すると、4期のうちの最初の1981~1999年では5年であったが、最近の2011~2014年では1.6年に減少している。
「損失生存年数は、最若年で最も長く(5歳で16.5年)、高齢になるほど短く(70歳で0.6年)なっている」と、Bhatia医師は述べる。
Bhatia医師の研究は、アラバマ大学バーミンガム校(UAB)、ミネソタ大学、およびカリフォルニア州シティオブホープ国立医療センターの3つの施設において1974年から2014年の間に骨髄移植を受けた1万人以上の患者を対象とする骨髄移植サバイバー研究(Bone Marrow Transplant Survivor Study)に基づく。この研究は、米国国立がん研究所(NCI)から638万ドルの助成金を受けて実施された。
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