FDAが辺縁帯/濾胞性リンパ腫にウムブラリシブを承認
2021年2月5日、米国食品医薬品局(FDA)は、PI3Kデルタおよびカゼインキナーゼ(CK)1イプシロンを含むキナーゼ阻害剤であるウムブラリシブ(販売名:Ukoniq、TG Therapeutics 社)を以下の適応に迅速承認した。
・抗CD20抗体薬を用いた1種類以上のレジメンを受けたことのある再発または難治性辺縁帯リンパ腫(MZL)の成人患者。
・全身療法の治療歴が3回以上ある再発または難治性濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者。
承認は、2つの単群コホートを対象とした非盲検多施設共同多コホート試験、UTX-TGR-205(NCT02793583)に基づくものである。この試験は、抗CD20抗体薬を用いたレジメンを含む1種類以上の治療を受けた辺縁帯リンパ腫(MZL)患者69人と、2種類以上の全身療法を受けた濾胞性リンパ腫(FL)患者117人を対象とした。患者は、疾患進行または許容できない毒性がみられるまで、ウムブラリシブ800mgを1日1回経口投与された。
有効性は、独立審査委員会が評価した修正版2007年国際ワーキンググループ基準を用いて、奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)に基づいて評価された。
辺縁帯リンパ腫(MZL)患者の奏効率(ORR)は49%(95%信頼区間[CI]:37.0~61.6)であり、患者の16%が完全奏効を達成した。これらの患者は、奏効期間(DOR)の中央値には未到達であった(95%CI:9.3~未到達)。FL患者のORRは43%(95%CI:33.6~52.2)であり、3%が完全奏効を達成した。DORの中央値は11.1カ月(95%CI:8.3~16.4)であった。
臨床検査値の異常を含む有害事象で最も多く(15%以上)みられたものは、クレアチニン上昇、下痢・大腸炎、疲労、悪心、好中球減少、トランスアミナーゼ上昇、筋骨格系疼痛、貧血、血小板減少、上気道感染、嘔吐、腹痛、食欲減退、発疹であった。重篤な有害事象は18%の患者に発現し、その多くは下痢・大腸炎および感染によるものであった。用量変更の理由として最も多かったのは、下痢・大腸炎およびトランスアミナーゼ上昇であった。
添付文書には、感染、好中球減少、下痢・非感染性大腸炎、肝障害、重篤な皮膚反応などの副作用に関する警告および注意が記載されている。
ウムブラリシブの推奨用量は1日1回800mg経口投与であり、進行または許容できない毒性がみられるまで、食事と共に投与する。
Ukoniqの全処方情報はこちらを参照。
本審査には、FDAによる評価を円滑に進めるために 申請者が自発的に申請するAssessment Aidが使用された。
本申請は辺縁帯リンパ腫(MZL)に対する優先審査、辺縁帯リンパ腫(MZL)および濾胞性リンパ腫(FL)の治療に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けた。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
辺縁帯リンパ腫(MZL)および濾胞性リンパ腫(FL)の適応は奏効率に基づいて迅速承認された。継続的な承認には、検証的試験において臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。
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