FDAが再発・難治性マントル細胞リンパ腫にbrexucabtagene autoleucelを承認
2020年7月24日、食品医薬品局(FDA)は、再発または難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)の成人患者を対象としたCD19指向性遺伝子改変自己T細胞免疫療法であるbrexucabtagene autoleucel(販売名:TECARTUS、Kite,a Gilead Company社)を迅速承認した。
今回の承認は、アントラサイクリンまたはベンダムスチンを含む化学療法、抗CD20抗体療法、およびブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤の投与を受けたことのある再発または難治性マントル細胞リンパ腫患者74人を対象とした非盲検多施設共同単群試験、ZUMA-2(NCT02601313)に基づくものである。リンパ球除去化学療法終了後、brexucabtagene autoleucel を単回点滴静注した。有効性主要評価項目は、独立審査委員会により評価された Lugano [2014] 基準の奏効率(ORR)であった。
有効性が評価された60人の患者のうち、奏効のための最短追跡期間6カ月間のORRは87%(95%信頼区間[CI]:75~94)であり、完全寛解(CR)率は62%(95%CI:48~74)であった。奏効のための追跡期間中央値、8.6カ月経過後、奏効期間の推定中央値は未到達であった(0+~29.2+カ月の範囲)。白血球アフェレーシス(白血球除去療法)を受けた全患者74人での独立審査委員会(IRC)で評価されたORRは80%(95%CI:69~88)で、CR率は55%(95%CI:43~67)であった。
グレード3以上の反応で最もよくみられた(10%以上)副作用は、貧血、好中球減少、血小板減少、低血圧、低リン酸血症、脳症、白血球減少、低酸素血症、発熱、低ナトリウム血症、高血圧、感染症(病原体不明)、肺炎、低カルシウム血症、リンパ球減少であった。FDAは、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性のリスクがあるため、リスク評価・緩和戦略の実施を条件にbrexucabtagene autoleucelを承認した。
Brexucabtagene autoleucelの推奨用量は、フルダラビンとシクロホスファミドによるリンパ球除去化学療法の後の体重1kgあたり2×106個のCAR発現生T細胞(最大2×108個のCAR発現生T細胞)の単回点滴静注である。
TECARTUSの全処方情報はこちらを参照。
本適応に対する申請は、奏効率(ORR)と奏効期間に基づいて迅速承認されている。本適応の継続的な承認は、検証的試験による臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。
FDAは、本適応にbrexucabtagene autoleucel をオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)、画期的治療薬に指定し、優先審査を行った。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
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