FDAがCD30陽性ホジキンリンパ腫の初回治療にブレンツキシマブベドチンを拡大承認

速報

米国食品医薬品局(FDA)は本日、未治療のステージ3または4の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)の成人患者を、ブレンツキシマブベドチン(商品名:アドセトリス)を化学療法と併用して治療することを承認した。

「今回の承認は、40年以上前に実臨床に導入された、進行期ホジキンリンパ腫に対する初期治療レジメンの進歩を象徴するものです」と、FDA Oncology Center of Excellence及び、FDA医薬品評価研究センターで血液・腫瘍領域製品室のディレクターであるRichard Pazdur医師は述べた。「今回の承認は、治療の進歩を容認するというわれわれの責務を示すものであり、処方者および患者にさまざまな治療の選択肢を提供します」。

リンパ腫は、体が炎症や病気と闘うのを助ける免疫システムの一部であるリンパ系で発生する悪性腫瘍である。リンパ腫は体のほとんどの部位で発症し、周辺のリンパ節へ広がる可能性がある。リンパ腫には、ホジキンリンパ腫(ホジキン病とも呼ばれる)と非ホジキンリンパ腫の大きく二種類がある。ホジキンリンパ腫の患者のほとんどはcHLである。このタイプには、Reed-Sternberg細胞と呼ばれる大型の異常なリンパ球(白血球の一つの型)がリンパ節の中にみられる。早期に介入することで、ホジキンリンパ腫の患者は長期寛解が得られることが多い。

国立衛生研究所の国立がん研究所は、昨年、米国内で8260人がホジキンリンパ腫と診断され、およそ1070人の非ホジキンリンパ腫患者が、原疾患で2017年に死亡したと推定する。

ブレンツキシマブベドチンは抗体と薬剤を結合させており、それにより抗体は、CD30として知られるリンパ細胞の表面にある標的に薬剤を直接作用させることができる。FDAが以前承認したブレンツキシマブベドチンの適応には、再発後のcHL、再発または進行リスクのある患者で幹細胞移植後のcHL、他の治療に対し効果がみられなかった後の全身性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)や原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫がある。

未治療のステージ3または4のcHLの成人患者に対する使用は、ブレンツキシマブベドチン+化学療法(アドリアマイシン[ドキソルビシン]、ビンブラスチンおよびダカルバジン、すなわちAVD)の併用療法と、cHLに対する一般的治療法である化学療法単独(ABVDとも呼ばれるAVDとブレオマイシンとの併用)を比較した臨床試験に基づいて承認された。この試験では、病勢進行、死亡、または完全寛解に至らなかった患者で開始される新規の治療までの期間を考慮に入れた修正無増悪生存期間(mPFS)を評価した。1334人の患者の試験において28日周期の治療を平均6回行った結果、ブレンツキシマブベドチン+AVD群では、病勢進行、死亡、または新規治療を開始することに関する相対リスクは、ABVD群に比べ23%低かった。病勢進行もしくは死亡が認められた、または新規治療を開始した患者は、ABVD群の146人(22%)に対し、AVD+ブレンツキシマブベドチン群では117人(18%)であった。

ブレンツキシマブベドチンに多くみられる副作用は特定の血液細胞の減少(好中球減少や貧血)、手足のしびれや力の入りにくさの原因となる神経損傷(末梢神経障害)、悪心、疲労、便秘、下痢、嘔吐や発熱がある。上記の臨床試験において、ブレンツキシマブベドチンと化学療法を併用した患者の67%に末梢神経系の損傷が認められた(末梢神経障害)。さらに、好中球減少は、ブレンツキシマブベドチンと化学療法を併用した患者の91%にみられ、19%が発熱性好中球減少症(好中球減少と発熱)と関連していた。ステージ3もしくは4のcHLの初回治療としてブレンツキシマブベドチン併用化学療法を行う場合、骨髄での白血球産生を促す成長因子であるG-CSFの予防的治療が推奨される。

ブレンツキシマブベドチンには枠組み警告があり、まれではあるが死亡につながる重篤な脳の感染症である進行性多巣性白質脳症、すなわちPMLを引き起こす、John Cunninghamウィルス感染症に対するリスクが強調されている。

ブレンツキシマブベドチンの重大なリスクには、末梢神経障害、重度のアレルギー(アナフィラキシー)もしくは点滴部位反応、血液・肺・肝臓への障害(血液、肺、肝毒性)、重篤な、または日和見性の感染症、代謝の異常(腫瘍崩壊症候群)、重篤な皮膚の副作用、消化管の合併症などがある。

ブレンツキシマブベドチンは胎児や新生児の発達に危害を及ぼす可能性がある。女性は胎児へのリスクを考慮し、効果的な避妊を行いブレンツキシマブベドチン服用中は授乳を控えるべきである。

FDAは本申請の優先審査および画期的治療薬指定を承認した。

FDAはSeattle Genetics, Incに対し、アドセトリスを承認した。

翻訳担当者 池上紀子

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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