FDAが濾胞性リンパ腫の治療にオビヌツズマブを承認

Oncology Approved Drug

米国食品医薬品局(FDA)は2016年2月26日、リツキシマブを含む治療後に再発したか治療効果がみられない濾胞性リンパ腫(FL)患者の治療において、obinutuzumab[オビヌツズマブ](商品名:Gazyva注射剤、ジェネンテック社)を、オビヌツズマブ+ベンダムスチン併用療法後にオビヌツズマブ単独療法を行う治療薬として承認した。オビヌツズマブは、治療歴の無い慢性リンパ性白血病患者の治療として、chlorambucil[クロラムブシル]との併用ですでに承認されている。

今回の新たな承認は、リツキシマブを含む治療期間中または治療後6カ月以内に、反応を示さないか、または進行した濾胞性リンパ腫患者を対象に、ランダム化非盲検多施設共同試験で無増悪生存期間(PFS)の改善が示されたことに基づくものであった。本試験では、オビヌツズマブ+ベンダムスチン併用療法を6サイクル行い、その後オビヌツズマブ単独療法を最長2年間継続して行う療法と、6サイクルのベンダムスチン療法とを比較した。

濾胞性リンパ腫患者321人を、オビヌツズマブ+ベンダムスチン併用療法(n=155)またはベンダムスチン単独療法(n=166)のいずれかにランダムに割り付け、有効性を評価した。患者の年齢(34歳~87歳)の中央値は63歳であった。患者の前治療回数(1回~10回)の中央値は2回であった。独立評価委員会によって評価された無増悪生存期間中央値は、ベンダムスチン単独群で13.8カ月であったのに対し、オビヌツズマブ+ベンダムスチン併用群では、中央値に到達しなかった[HR 0.48(95%CI:0.34~0.68)、log-rank test p-value < 0.0001]。

今回の試験では、辺縁帯リンパ腫患者46人と小リンパ球性リンパ腫患者28人も対象として安全性分析を行った。オビヌツズマブ+ベンダムスチン併用療法を行い、その後オビヌツズマブ単独療法を行った安全性評価の対象となった集団において最もよくみられた有害反応(10%以上)は、インフュージョンリアクション(投与時反応)、好中球減少、悪心、疲労、咳、便秘、発熱、血小板減少症、嘔吐、上気道感染症、食欲減退、関節痛、副鼻腔炎、貧血症、無力症、および尿路感染症であった。重篤な有害反応は、オビヌツズマブ+ベンダムスチン併用療法を行い、その後オビヌツズマブ単独療法を行った患者の38%に生じたと報告されている。最もよくみられた重篤な有害反応(2%超)は、発熱性好中球減少症、好中球減少症、インフュージョンリアクション(投与時反応)、敗血症、肺炎、発熱であった。

治療のための推奨用量と用法は以下の通りである:

オビヌツズマブ:28日間を1サイクルとし、第1サイクルの第1日目、第8日目、第15日目、第2~6サイクルの第1日目、その後2年間は2カ月ごとに、1000mgを静脈内投与

ベンダムスチン:第1~6サイクルの第1日目および第2日目に90 mg/m2を静脈内投与

今回の申請において、優先審査が認められた。これらの優先プログラムに関する内容は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に掲載され、下記のウェブサイトにて閲覧可能となっている。
http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf

詳細な添付情報は、下記のウェブサイトにて閲覧可能となっている。

http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2016/125486s013lbl.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連性が疑われるすべての重篤な有害事象を、オンラインフォーム(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、FAX(1-800-FDA-0178)、オンラインに記載されている宛先へ郵便料金支払い済での郵送、または電話(1-800-FDA-1088)で、FDA内MedWatch報告システムに報告する必要がある。

翻訳担当者 大木勝弥

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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