生涯を通じて激しい身体活動は非ホジキンリンパ腫(NHL)の発症リスクを低下させる可能性
身体活動が大腸がんと乳がんの発症リスクを低下させることが先行試験で示される
生涯にわたる活発な身体活動(運動)は非ホジキンリンパ腫(NHL)の発症リスクを低下させる可能性がある。これは、米国がん学会発行のCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に発表された研究報告である。
「この症例対照研究において、身体活動が最も高い参加者は、最も低い参加者に比べNHL発症リスクが低いことが示されました。特に激しい身体活動、例えば呼吸数や心拍数を高レベルに上昇させるような運動がリスク低下に最も効果的であることもわかりました」とカナダのブリティッシュ・コロンビアがん研究所のがん制御研究部門およびブリティッシュ・コロンビア大学人口・公衆衛生大学院の博士研究員であるTerry Boyle博士は話した。
「身体的に活発であることは大腸がんおよび乳がんの発症リスクを低下させ、さらにその他のさまざまな身体的・精神的ベネフィットにつながることはわかっています。われわれの研究結果から、激しい身体活動はNHLの発症リスク低下にもつながる可能性が示唆されました」とBoyle博士は加えた。
本試験において、生涯における激しい身体活動強度の高四分位値(二、三、四分位)に属する参加者は、低四分位値(一分位)に属する参加者に比べ、NHL発症リスクが約25~30%低かった。身体活動によるベネフィットはいずれの年齢層においても同等であった。
Boyle博士らは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)で2000~2004年に実施された症例対照試験のデータを使用した。その試験は、B.C. Cancer Registry に登録されたさまざまな年齢のNHL患者820人(うち男性59%)とBC保健省のClient Registryから無作為に選定され、年齢・性別・居住地域がマッチした健康対照者848人を比較検討したものである。
対象者属性および生涯の娯楽身体活動を含むNHL発症の各種リスク因子に関する情報は、アンケートにより集められた。参加者は10年間ごとの軽度、中等度または強度身体活動の、週間平均実施日数および1日平均実施時間数を記録した。
著者らは各種身体活動に代謝当量(MET)値を割り当て、身体活動の強度および持続時間を考慮し、参加者の生涯における身体活動の週間平均代謝当量時間(MET-hours)を計算した。
「現時点では、このテーマに関する研究はまだ十分ではなく、身体的に活発であることがNHL発症リスクを低下させると自信をもっていえる段階ではありません。われわれは今後さらなる検討を進めるため、いくつかの試験からデータを集積する予定です」とBoyle博士は話した。「NHLの型が違えば危険因子も異なります。ですから、異なる型のNHLに対して身体活動が発症リスクに異なる方法で影響するかを検討することも予定しています。」
本研究はCanadian Cancer Societyおよびカナダ保健省の資金提供を受けた。Boyle博士はカナダ保健省、健康研究のためのMichael Smith財団、Killam信託およびオーストラリア国民健康保険・医療審議会より資金提供を受けている。Boyle博士には報告すべき利益相反はない。
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