ペンブロリズマブによるPD-1免疫療法はホジキンリンパ腫患者に有効

キャンサーコンサルタンツ

Programmed cell death-1 (PD-1)として知られる癌の免疫療法戦略は、免疫系が癌を認識して攻撃するのを助けることから、大きな熱狂をもたらした。PD-1阻害剤がホジキンリンパ腫(HL)患者に有効であることがこのほど、第56回米国血液学会(ASH)年次総会において研究者らによって発表された。

ホジキンリンパ腫はリンパ系の癌で、通常は体の一部位のリンパ節に生じ、リンパ系を通じて広がっていく。ホジキンリンパ腫は、治癒が得られやすい癌の一種であり、いくつかの疾患ステージにおいて効果的な治療が存在する。一次治療には通常、化学治療が含まれABVD(ドキソルビシン、 ブレオマイシン、 ビンブラスチン、 ダカルバジン)を用いることが多い。この治療計画に関する問題のひとつが、ブレオマイシンによる毒性である。実際、高齢患者にブレオマイシンによる肺毒性がみられる可能性があり、これが原因で死亡することもある。再発性・難治性ホジキンリンパ腫患者では、高用量化学療法および幹細胞移植によって治癒できる可能性もある。幹細胞移植が失敗した患者に関しては、追加治療の選択肢が限られる。

ペンブロリズマブ[pembrolizumab](商品名:キートルーダ)はPD-1阻害剤と呼ばれる新しい分類に属する薬剤で、免疫系が癌を認識して攻撃するのを助ける。PD-1は、特定の種類の免疫応答を阻害するタンパク質である。PD-1を阻害する薬剤は免疫系が癌と闘う働きを高める可能性がある。ペンブロリズマブは、PD-1を阻害することによって作用する。この治療戦略はこれまでに、悪性黒色腫(メラノーマ)やその他の種類の癌で良好な結果を示している[1]。

多数の前治療歴を有するホジキンリンパ腫患者29人に対して行われた第1相臨床試験の結果が医師らによって報告された。本試験のすべての患者はブレンツキシマブ・ べドチンによる治療が以前に失敗しており、ほとんどの患者は幹細胞移植後に再発していた。

患者は疾患進行や過剰な副作用がみられるまで、または2年間の治療が完了するまで2週間ごとにペンブロリズマブを静脈内投与された。全体で、治療不応性ホジキンリンパ腫患者の66%に奏効し、21%にリンパ腫の完全な消失がみられた。重要なことに、ペンブロリズマブは非常に良好な忍容性を示し、副作用はごくわずかであった。ペンブロリズマブは現在、ホジキンリンパ腫への使用に関して米国食品医薬品局(FDA)に承認申請する目的で後期臨床試験において評価されている。

参考文献:
1. Ribas A, Hodi FS, Kefford R, et al. Efficacy and safety of the anti-PD-1 monoclonal antibody MK-3475 in 411 patients (pts) with melanoma (MEL). J Clin Oncol 32:5s, 2014
2. Moskowitz C, Ribrag V, Michot J-M, et al. PD-1 Blockade with the Monoclonal Antibody Pembrolizumab (MK-3475) in Patients with Classical Hodgkin Lymphoma after Brentuximab Vedotin Failure: Preliminary Results from a Phase 1b Study (KEYNOTE-013). Presented at the 56th Annual Meeting of the American Society of Hematology. December 6-9, 2014. Abstract 290.


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翻訳担当者 寺本瑞樹

監修 吉原 哲(血液内科/コロンビア大学CCTI)

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