早期ホジキンリンパ腫患者の10年生存率が放射線療法で改善

キャンサーコンサルタンツ

National Cancer Database(NCDB)に基づいた大規模観察研究によれば、化学療法に地固め放射線療法を併用すれば、1期および2期のホジキンリンパ腫患者の10年生存率が有意に改善する。この所見はサンフランシスコで開催された米国放射線腫瘍学会第56回年次総会で発表された[1]。

ホジキンリンパ腫とはリンパ系の癌である。この癌は、この疾患に特有のReed-Sternbergという細胞の存在を基に診断する。ホジキンリンパ腫は体の一部位のリンパ節で始まり、リンパ系を通じて広がっていくのが一般的である。この癌は肺、肝臓、骨、骨髄など、リンパ系外の臓器や器官に広がっていくこともある。

早期ホジキンリンパ腫の標準治療は、多剤併用化学療法とその後の地固め放射線療法とされてきたが、放射線治療を受けないホジキンリンパ腫患者は多い。実際、10年の調査期間で、放射線療法の実施は15%減少しており、ホジキンリンパ腫治療計画に放射線療法を全く入れていない腫瘍医もいる。

今回の調査では、米国内1,500カ所以上の病院で、新たにホジキンリンパ腫と診断された41,420人の患者の調査データを評価した。患者のうち、20,523人(49%)が放射線療法を受け、20,897人が受けなかった。ホジキンリンパ腫の治療計画に放射線療法を加えると、10年生存率は、放射線療法を受けなかった患者における76%から、放射線療法を受けた患者における84%へと改善した。放射線療法を受けなかった患者は、再発ホジキンリンパ腫の管理のために救済としての幹細胞移植を受ける可能性も高かった。

データベースを解析した結果、社会経済的な地位が低い、健康保険に加入していない、総合がんセンターで治療を受けていないなどの患者は、治療の一部として放射線療法を受ける可能性が低いということがさらに明らかとなった。

しかし、今回の調査結果とは対照的な内容を示す最近の研究報告がある。その研究によれば、巨大腫瘤なし早期ホジキンリンパ腫患者の12年全生存率は、放射線療法を受けた患者で87%であったのに対し、化学療法のみを受けた患者では94%であった[2]。

放射線療法は一部のホジキンリンパ腫患者に有益な手段ではあるが、費用がかかる上、長期にわたる副作用もある。今後の課題は、放射線療法による利益が後期合併症リスク増加を上回る患者サブグループを明確にし、放射線療法併用で利益を受ける可能性のある患者全員が適切な治療が受けられるようにすることである。

参考文献:

1.Parikh RR, Yahalom J, Talcott JA, et al: Early-stage Hodgkin’s disease: The utilization of radiation therapy and its impact on overall survival. 56th Annual Meeting of ASTRO. Abstract CT-08. Presented September 14, 2014.
2.Meyer RM, Gospodarowicz MK, Connors JM et al. ABVD alone versus radiation-based therapy in limited-stage Hodgkin’s Lymphoma. New England Journal of Medicine. 2012;366:299-408.

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翻訳担当者 大木勝弥

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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