乾癬患者は発癌リスクが高いことを示す研究結果

キャンサーコンサルタンツ

民間医療保険請求データを後方視的に分析した最近の結果から、乾癬患者における癌発生率が高く、一部の乾癬治療薬はリスクをさらに高める可能性があるものと思われた。

マサチューセッツ総合病院のAlexa B. Kimball医師が米国皮膚科学会のサマーミーティングで報告したところによると、非黒色腫皮膚癌とリンパ腫以外は、いずれの癌の発生率も異なる乾癬治療を受けている患者間で同程度であった。

この2つの癌の発生率は治療薬によって幅があるものの、一般人より高かった。医師らは、癌のリスクが増加するのは、乾癬の特徴である慢性炎症ならびに一部の乾癬治療法を受けたことによる潜在的影響と関連している可能性があると考えている。

研究者らは、診断の結果、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード)、ウステキヌマブ(ステラーラ)、非生物学的療法、または光線療法のうち少なくとも一つの処方に対する保険金請求があった患者について、保険金請求データベースから得たデータを検討して、発癌リスクを評価した。

悪性腫瘍5年発生率は一般集団で96例/10,000人年であったのに対して、乾癬患者では115.5例/10,000人年であった。非黒色腫皮膚癌とリンパ腫以外では、悪性腫瘍発生率はさまざまな治療法群で同程度であった:エタネルセプト(100.2/10,000人年)、アダリムマブ(94.6/10,000人年)、インフリキシマブ(138.1/10,000人年)、ウステキヌマブ(100.6/10,000人年)、非生物学的療法(116.8/10,000人年)、光線療法(117.3/10,000人年)。

非黒色腫皮膚癌は乾癬患者に非常に多い悪性腫瘍であり、一般人の間ではわずか94.2/10,000人年であるのに対し、乾癬患者の間では147.2/10,000人年という確率で発生していた。患者が受けた治療薬に関して、悪性腫瘍発生率はアダリムマブ(234.2/10,000人年)とウステキヌマブ(233.3/10,000人年)が最も高く、エタネルセプト(155.9/10,000人年)が最も低かった。

リンパ腫の発生率も乾癬患者では一般人より高かった(11.1/10,000人年対6.6/10,000人年)。この血液がんの発生率は、ウステキヌマブ治療患者(25.1/10,000人年)で最も高く、エタネルセプト(6.9/10,000人年)で最も低かった。

本研究著者であるKimball医師は、乾癬治療に利用される大部分の治療法では、リンパ腫と皮膚癌を除く一般的な癌のリスクが変わらないことを確認する上で、今後もこうした大規模データベース検索が役立つであろうと結論づけた。乾癬患者は、乾癬治療の有用性が癌発生リスクなどのいかなるリスクをも上回ることを確認すべきである。より長期的な追跡調査によって、これらの乾癬治療薬による治療と癌との相関関係がより明確になるものと思われる。


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翻訳担当者 太田奈津美

監修 東海林洋子(薬学博士/ 遺伝子医薬品、薬剤学、微生物学)

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