リンパ腫(DLBCL)の二次治療としてCAR-T細胞療法の費用対効果が低い現状
ダナファーバーがん研究所
研究概要
表題
びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の二次治療、キメラ抗原受容体 T 細胞療法:費用対効果の分析
出版物
Annals of Internal Medicine誌
著者
Amar H. Kelkar 医師・公衆衛生学修士(筆頭著者)、Edward R. Scheffer Cliff 医学外科学学士・公衆衛生学修士、Caron A. Jacobson 医師、Gregory A. Abel 医師・公衆衛生学修士、Corey Cutler 医師・公衆衛生学修士(統括著者)、Robert Redd 理学修士 : ダナファーバーがん研究所
要旨
キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)は、再発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の二次治療として有効であるが、費用対効果を高めるためには価格を大幅に下げる必要があることが、ダナファーバーがん研究所の研究者らの分析から明らかになった。初回治療から治療抵抗性および早期再発(高リスク)DLBCLに対する現在の標準治療である、自家造血幹細胞移植を伴う救援化学免疫療法と比較すると、CAR-T細胞療法は無病生存期間および全生存期間において優れている。しかし、定価が輸注1回あたり40万ドルを超えるため、費用対効果が問題となる可能性がある。複数の臨床試験のデータに基づき、ダナファーバーは axi-cel または liso-cel による二次治療としてのCAR-T細胞療法は、質調整生存年あたり20万ドルという支払い意思額(WTP)ではいずれも費用対効果が低いことを明らかにした。CAR-T細胞療法により生存期間とQOLの両方が段階的に改善したが、費用対効果を実現するにはコストを大幅に下げる必要があることがデータから示された。研究者らの予算効果分析によると、CAR-T細胞療法が新たな標準治療となった場合、米国の医療部門は5年間で68億ドルを追加支出することになる。著者らによれば、これらの知見は診療報酬を請求する診療所や病院の管理者、コストと利益のバランスをとる製薬会社、交渉に臨む民間および公的保険会社、薬価上昇を抑制しようとする政策立案者などに関連する可能性があるという。
結果
CAR-T細胞療法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の二次治療として有効性が証明されているが、費用対効果を高めるためには治療費を大幅に下げる必要がある。
- 監訳 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)
- 翻訳担当者 青山真佐枝
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- 原文掲載日 2023/12/04
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