ゼヴァリンは進行した濾胞性リンパ腫に対する初回治療に有効

キャンサーコンサルタンツ

ゼヴァリン®(ibritumomab tiuxetan)を使用する放射免疫療法は、安全で忍容性良好、また進行した濾胞性リンパ腫の患者への初回治療として、高率で臨床および分子レベルで奏効したとの研究結果が、フロリダ州オーランドで開催された米国血液学会の第52回年次総会で紹介された。

ゼヴァリンは、放射免疫療法(RIT)の一種であり、モノクローナル抗体であるRituxanとゼヴァリンから成る。ゼヴァリンは、抗CD20モノクローナル抗体と放射線を発する放射性同位元素であるイットリウム90で構成される。ゼヴァリンは、体内に注入されたとき、多くの形態の非ホジキンリンパ腫に見られる癌性B型細胞などの、B型リンパ球の表面だけに存在するタンパク質(CD20)に結合する。そして自然放出される放射線により、B型細胞が標的とされ破壊される。この方法では、健康な組織は保護される。

ゼヴァリンは、非常に効果的な治療であることが示されており、さらに1回で短時間に投与できるというメリットも存在する。ゼヴァリンは外来患者を中心に投与され、治療法の合計期間は10日未満である。従来型の化学療法と比較して治療にかかる時間が少なくてすむため、普段活動的な患者にも適している。

非ホジキンリンパ腫(NHL)は、リンパ系の細胞から発生する癌の1形態である。リンパ系には、脾臓、胸腺、扁桃、骨髄、リンパ節、および循環する免疫細胞がある。濾胞性リンパ腫は、NHLの一種であり、低悪性度または無痛性のリンパ腫であると考えられている。すなわち、進行の遅いNHLのサブセットである。濾胞性リンパ腫には、B型細胞と呼ばれる白血球の一種が関与している。

研究者は、オーストリア、ドイツ、イタリア、およびスウェーデンにある7つのセンターで、グレードI~IIIAの濾胞性リンパ腫を発症した、59人の過去の治療歴のない患者の協力を得て、第2相試験を実施した。患者は、ゼヴァリンの標準的な一回量(15MBq/kg)を投与された。

ゼヴァリン療法から6カ月後、45パーセントの患者は完全寛解となり、40パーセントは部分寛解となり、全体の奏効率は85パーセントであった。治療から一年後の奏効率は72パーセントであった。この時点での完全奏効率は52パーセントであり、部分奏効率は20パーセントであった。追跡期間が18カ月以上に達した33人の患者の中では、52パーセントは完全寛解し、9パーセントが部分寛解し、36パーセントが進行していた。追跡期間中央値である23カ月目の無増悪生存期間は17.9カ月であった。

治療の忍容性は良好であった。激しい急性毒性はなく、副作用はグレードI~IIのみであった。

研究者は、ゼヴァリンを使用する初回治療は安全で忍容性良好、また進行した濾胞性リンパ腫を発症した患者において高率で臨床および分子レベルで奏効したと結論づけている。

参考文献:

Scholz CW, Pinto A, Linkesch W, et al. 90Yttrium Ibritumomab Tiuxetan as first line treatment for follicular lymphoma: First results from an international phase II clinical trail. Blood. 2010; 116(21): Abstract 593.

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翻訳担当者 桝谷 哲

監修 前田 梓(トロント大学医学部医学生物物理学科)

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