2012/07/10号◆特集記事「小児のホジキンリンパ腫患者の一部は放射線治療を必要としない 」

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NCI Cancer Bulletin2012年7月10日号(Volume 9 / Number 14)

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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

小児のホジキンリンパ腫患者の一部は放射線治療を必要としない

臨床所見が良好で、化学療法が早期に完全奏効したホジキンリンパ腫の小児患者には、放射線治療が必要ない可能性がある。6月27日付JAMA誌に発表された本知見は、21歳未満の低リスクホジキンリンパ腫患者88人が参加した臨床試験から得られた。

試験の化学療法が早期に完全奏効し、放射線治療を受けなかった(試験計画書に定められたとおり)小児患者の5年生存率は、化学療法の効き目が不十分であったため放射線治療を受けた小児の生存率と同等であった。

「この試験は、強度を弱めた化学療法を受けた患者であっても、放射線治療を省略することが可能であり、同時に良好な長期間生存を達成できるという証拠を増やしました」と試験責任医師で、聖ジュード小児研究病院のDr. Monika Metzger氏は発表で述べた。

低リスクホジキンリンパ腫患者10人のうち9人は病気を乗り越えるが、多くはその後の人生において、治療による遅発性有害事象を経験することになり、これには二次癌も含まれる。治療法を改良し治療期間を短くすることは癌生存者に生じる、長期間にわたる有害事象を減らすことになるため、研究者や臨床医はその対象となる患者を特定しようと努力してきた。

「ホジキンリンパ腫を治療できることはわかっていますが、どのように治療をすれば患者が将来にわたり健康な生活を送れるのでしょう?」Metzger氏はインタビューの中で述べた。「この試験は、特定の患者群においては放射線治療を省いても安全であることを証明しました」。

第2相非ランダム化試験でVAMPとして知られる併用化学療法を2サイクル受けた患者88人のうち、47人では完全奏効したが、41人では完全奏効せず放射線治療を受けた。この88人は2000年から2008年の間に聖ジュード小児研究病院、スタンフォード大学医療センター、ダナファーバー癌研究所、マサチューセッツ総合病院、そしてポートランドのメイン医療センターで治療を受けていた患者である。

患者は中央値でほぼ7年間の追跡調査を受けた。5年無再発生存率は、化学療法のみを受けた患者では89.4%で、化学療法に加えて放射線治療を受けた患者では87.5%であった。

これらの知見は「小児期に受けた悪性腫瘍の治療による合併症を減らすための継続的な取り組みに光を当てるものです」と、アラバマ大学バーミンガム校のDr. Kimberly Whelan氏とDr. Frederick Goldman氏は付随論説で述べている。

化学療法のみの治療を受けたグループの5人で癌が再発した。この全員で自家幹細胞移植を必要としない化学療法と放射線治療を併用したサルベージ療法(救援療法)が奏効した。5人のうち4人は、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫と呼ばれる種類であった。強度を弱めた化学療法は、このサブグループに入る小児患者には適さないかもしれないと著者らは述べた。

試験の対象が比較的少人数であったため、試験実施施設間の違いの評価や、サブグループ解析を十分実施することができなかった。「従って、この結果を大規模な患者群で確認することが重要」と著者らは述べている。

Metzger氏らは現在、低リスク患者のための低線量の放射線治療を含む治療法を開発している。この治療法では今回の試験よりも、放射線治療を行う患者の割合を50%弱程度減らすことができる。「目標は明確で、化学療法と放射線治療との最良のバランスをみつけることです」と同氏は語った。

本試験と同様の限定された病態のホジキンリンパ腫で、強化化学療法に耐えられない高齢患者もまた、この試験で試される最小限の治療法を適用する候補者となるかもしれないと同氏は述べた。

「可能な場合には治療を最小限にすることに重点を置きます。これは小児癌の治療においては非常に大切なことです」と論説委員らは述べた。しかし次のように注意をしている。「晩発の副作用を最小限にする目的で治療強度を弱める場合、再発リスクとのバランスを取らなければなりません。なぜなら、診断後10年間の死因の1位は、依然として癌の再発なのです」。

— Edward. R. Winstead

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岡田章代 訳
吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院) 監修 
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