早期ホジキンリンパ腫に対する治療強度の低減の有効性

キャンサーコンサルタンツ

予後が良好な早期ホジキンリンパ腫患者では、転帰を悪化させずに化学療法のサイクル数と放射線療法の線量を低減できる可能性がある。この研究結果はNew England Journal of Medicine誌で発表された。

ホジキンリンパ腫はリンパ系の癌で、特徴的な細胞を顕微鏡下で特定することにより診断される(Reed-Sternberg細胞)。ホジキンリンパ腫は通常体内の1カ所のリンパ節で始まり、その後予測可能な形でリンパ系を通じて広がっていく。リンパ系を離れて、肺、肝臓、骨や骨髄などその他の器官に広がることもある。

限局性ホジキンリンパ腫は、化学療法、放射線療法、またはその併用療法による治療が可能である。これらの治療で多くの患者が治癒するが、治療による長期的副作用が研究の焦点となっている。最小限の副作用で最大数の患者を治癒する最適な療法はまだ確定していない。

化学療法のサイクル数と放射線療法の線量を低減した治療を評価するため、新たにホジキンリンパ腫と診断され、かつ予後の良好な患者1,370人を対象に試験を行った。患者は次の4群のいずれか1つに割り付けられた。

1. ABVD(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン)を4サイクル投与後に放射線療法30Gy
2. ABVD を 4 サイクル投与後に放射線療法20Gy
3. ABVD を 2 サイクル投与後に放射線療法30Gy
4. ABVD を 2 サイクル投与後に放射線療法20Gy

治療不成功ゼロの割合と全生存率は4群間で同程度であった。最大量の化学療法+最大線量の放射線療法を受けた患者は副作用の発生率が最大であった。

これらの結果から、サイクル数を低減した化学療法+線量を低減した放射線療法は、より強力な治療法に比べ、有効性は同等であるが、毒性は低い可能性が示唆された。しかし研究者は、これらの治療による長期的効果に対する評価はまだ不十分だと警告している。

参考文献:
Engert A, Plutschow A, Eich HT et al. Reduced treatment intensity in patients with early-stage Hodgkin’s lymphoma. New England Journal of Medicine. 2010;363:640-52.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 丸野有利子

監修 北村裕太(農学/医学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

リンパ腫に関連する記事

ニボルマブは進行ホジキンリンパ腫の治癒率向上につながる可能性の画像

ニボルマブは進行ホジキンリンパ腫の治癒率向上につながる可能性

免疫療法薬ニボルマブ(オプジーボ)が、進行した古典的ホジキンリンパ腫を患う10代以上の患者に対する一次治療の一部を成すことが、NCI資金提供による大規模臨床試験の最新結果で示された。

約...
CAR-T細胞療法後の二次がんリスクを知るの画像

CAR-T細胞療法後の二次がんリスクを知る

2023年11月、米国食品医薬品局(FDA)は、CAR-T細胞療法を受けた人において二次がん、特にT細胞リンパ腫が発生した20例以上を調査中であると発表した。いくつかの例では、CAR-...
ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)の画像

ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)

米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)年次総会で発表された研究結果
ダナファーバーがん研究所の研究者らは、中枢神経系(CNS)リンパ腫、乳がん、神経膠芽腫の患者の治療において有望な結果をも...
抵抗性アグレッシブB細胞リンパ腫への5剤併用療法で持続的寛解の画像

抵抗性アグレッシブB細胞リンパ腫への5剤併用療法で持続的寛解

米国国立衛生研究所(NIH)の研究者らは、化学療法を用いない治療法を開発した。この療法は、再発した、あるいは標準治療が効かなくなったアグレッシブB細胞リンパ腫の一部の患者に対し...