ゼヴァリン[Zevalin]/未治療の濾胞性NHL患者に対して有望なR-CHOP療法後のゼヴァリン

キャンサーコンサルタンツ
2006年6月

第2相試験の結果、濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)の初期治療として、R-CHOP療法(C:シクロフォスファミド(エンドキサン)、H:アドリアマイシン(アドリアシン)、O:ビンクリスチン(オンコビン)、P:プレドニン+R:リツキサン(リツキシマブ))後のゼヴァリン(90Y ibritumomab tiuxetan)およびリツキサン(リツキシマブ)の併用投与が、高い完全寛解率をもたらし、疾患の無進行生存率を改善することが報告された。これらの結果は、第42回米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会において発表された。

疾患の様々な進行段階で、ゼヴァリンを評価する試験が、初期治療も含め、実施されている。先の試験で、濾胞性NHLの初期治療としての、ゼヴァリン投与およびR-CHOP療法との組み合わせが、有望な結果を示し、近ごろピッツバーグ大学(University of Pittsburg)の医師らが、本治療方法の更なる評価のため、第2相単一施設試験を実施した。試験には30人の評価可能な、グレード1~3、またはステージⅡ~Ⅳの(あるいはステージⅠ-Ⅱであれば、症状のある)CD20陽性濾胞性NHL患者が登録した。患者は、化学療法やモノクロナル抗体による前治療を受けておらず、その半数は、ステージⅣに疾患が進行していた。試験の治療法は以下の通りである。

・3サイクルの標準R-CHOP療法。
・R-CHOP療法の最終投与の4週間後に、ゼヴァリンによる治療を受ける。
・ゼヴァリンによる治療の1週間後より、リツキサン(375 mg/m2を静脈内投与)による治療を1週間に1度、4回受ける。

以上の治療より、以下の結果が報告された。

・コンピュータ断層撮影法(CT)スキャンに基づくInternational Working Group(IWG)基準および放射断層撮影法(PET)スキャンの結果を用いた、完全寛解率が、R-CHOP療法後の35.7%から、ゼヴァリンおよびリツキサンによる治療後には89.3%に引き上げられた。
・20ヶ月後、無進行生存率の中央値は約80%であった。
・R-CHOP療法に放射免疫療法(RIT)を加えることで、グレードⅢ~Ⅳの血小板減少症の発症頻度が、R-CHOP療法中の3.3%から、RIT療法後の43%に高まった。
・グレードⅢ~Ⅳの好中球減少症および発熱性好中球減少症の発症頻度は、RIT療法後よりR-CHOP療法中の方が高かった。
・ゼヴァリン療法の画像化の段階における、腫瘍のインジウム-111(indium-111)吸収が、完全寛解率の低下と相関していた。
・フュージョンPET-CTスキャンによる機能的画像化の方が、CTスキャン単独よりも、残存病変の検知において、正確であることが分かった。

医師らは、R-CHOP療法にゼヴァリンおよびリツキサン投与を加えることにより、未治療の濾胞性NHL患者に対して、有望な完全寛解率および無進行生存率の改善をもたらすと結論付けた。また医師らは、本治療法の有効性を本当に評価するには、長期のフォローアップが必要であると注意を促している。

参考文献:

DeMonaco N, Wu M, Osborn J, et al. Phase 2 Trial of CHOP-Rituximab Followed by 90Y ibritumomab Tiuxetan (Zevalin) and Rituximab in Patients with Previously Untreated Follicular Non-Hodgkin Lymphoma. Proceedings from the 42nd annual meeting of the American Society of Clinical Oncology (ASCO). Atlanta, Ga. June 2006. Abstract #7589.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 Oonishi

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

リンパ腫に関連する記事

ニボルマブは進行ホジキンリンパ腫の治癒率向上につながる可能性の画像

ニボルマブは進行ホジキンリンパ腫の治癒率向上につながる可能性

免疫療法薬ニボルマブ(オプジーボ)が、進行した古典的ホジキンリンパ腫を患う10代以上の患者に対する一次治療の一部を成すことが、NCI資金提供による大規模臨床試験の最新結果で示された。

約...
CAR-T細胞療法後の二次がんリスクを知るの画像

CAR-T細胞療法後の二次がんリスクを知る

2023年11月、米国食品医薬品局(FDA)は、CAR-T細胞療法を受けた人において二次がん、特にT細胞リンパ腫が発生した20例以上を調査中であると発表した。いくつかの例では、CAR-...
ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)の画像

ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)

米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)年次総会で発表された研究結果
ダナファーバーがん研究所の研究者らは、中枢神経系(CNS)リンパ腫、乳がん、神経膠芽腫の患者の治療において有望な結果をも...
抵抗性アグレッシブB細胞リンパ腫への5剤併用療法で持続的寛解の画像

抵抗性アグレッシブB細胞リンパ腫への5剤併用療法で持続的寛解

米国国立衛生研究所(NIH)の研究者らは、化学療法を用いない治療法を開発した。この療法は、再発した、あるいは標準治療が効かなくなったアグレッシブB細胞リンパ腫の一部の患者に対し...