BiovaxIDワクチンが非ホジキンリンパ腫の無病生存期間を改善

キャンサーコンサルタンツ
2008年7月

BiovaxID®は個別患者に特異的な抗イディオタイプ・ワクチンで、第2相臨床試験で評価され、1999年に初めて報告された。この腫瘍特異的イディオタイプはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合されており、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子GMCSF(Leukine®〔サルグラモスチム〕)とともに投与される。この以前の報告によると、化学療法完了時に検出可能な転座が認められた11人中8人の患者は、ワクチン療法後にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で転座は検出されず、完全寛解を達成した。これらすべての患者において、腫瘍特異性のCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞が検出されたが、抗体反応はそれほどなく、臨床的寛解には必ずしも必要ではないようにみられた。米国血液学会(ASH)での発表は、この臨床試験結果を更新したものである。

米国血液学会の2005年総会では、臨床的完全寛解を達成した後にBiovaxID®を投与した濾胞性リンパ腫の患者に対する第2相試験の9年間の追跡調査結果について、NCIとAccentia BioPharmaceuticals社の研究者らが報告した。これらの結果は十分に有望であり、第3相無作為化比較試験の根拠となった。

第3相臨床試験は、初回化学療法を受けて効果のあった濾胞性リンパ腫の患者を対象とした。患者は、寛解導入後にBiovaxID®あるいはGM-CSF(顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子)のどちらかを投与する群に無作為に割り付けた。この研究の追跡調査期間の中央値は80ヵ月(6年8ヵ月)であった。

・無病生存期間の中央値は、BiovaxID®治療を受けた患者では1年以上改善した。
・再発までの期間の中央値は、BiovaxID®治療を受けた患者が33.8ヵ月だったのに対し、対照群ではわずか21.2ヵ月だった。

こうした結果に基づき、Accentia BioPharmaceuticals社はBiovaxID®のFDA承認に向けて取り組んでいく予定である。

コメント:
ワクチンとしては目覚しいデータであり、審査結果に大きな関心が持たれるところである。

参考文献:
1 Accentia BioPharmaceuticals. Biovest reports results for patients treated with anti-cancer vaccine: BiovaxID[BiovaxID®]R demonstrates clinically and statistically significant improvement of disease-free survival in non-Hodgkin’s lymphoma in pivotal phase 3 clinical trial [press release]. Available at: http://www.accentia.net/investors/news.php. Accessed July 2008.
[2] Bendandi M, Gocke CD, Kobrin CB, et al. Complete molecular remission induced by patient[specific vaccination plus granulocyte-monocyte colony-stimulating factor against lymphoma. Nature Medicine. 1999;5:1171-1177.
[3] Santos C, Stern L, Katz, et al. BiovaxID[BiovaxID®]? vaccine therapy of follicular lymphoma in first remission: Long-term follow-up of a phase II trial and status of a controlled, randomized phase III trial. Blood. 2005;106:686a, abstract # 2441.


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翻訳担当者 越智 律子

監修 千種 葉月(薬学)

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