腫瘍壊死因子(TNF) 阻害剤、アザチオプリン、メルカプトプリン: 思春期小児および若年成人における肝脾T細胞リンパ腫についての報告に関する最新情報
2011年11月4日:更新
医療従事者は、TNF阻害剤を投与された患者における悪性腫瘍の発症例に引き続き警戒し、そのような症例が発生した場合はMedWatchに報告しなくてはならない。報告には以下の内容を含めること。
- 患者特性(年齢、性別、患者識別コードは記載しないこと)
- 悪性腫瘍のリスク因子
- 他の免疫抑制剤あるいは悪性腫瘍を引き起こすリスクのある薬剤への曝露
- TNF阻害剤治療に対する適応
- TNF阻害剤への曝露(投与期間、用量)
- 癌の診断(診断日、病期)
- 生検の結果
- 悪性腫瘍の転帰(治療、転帰)
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石岡 優子 訳
須藤 智久(国立がん研究センター東病院 臨床開発センター・臨床薬学修士)監修
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リウマチ科医、消化器科医、腫瘍専門医および皮膚科医向け
2011年4月14日
問題点:FDAは、クローン病 および潰瘍性大腸炎に対して、腫瘍壊死因子(TNF) 阻害剤として知られる薬剤や、アザチオプリンまたはメルカプトプリン、あるいはその両方により治療を受けた主に青年や若年成人における肝脾T細胞リンパ腫(HSTCL)という白血球の稀な癌についての報告を継続的に受けている。TNF阻害剤には、レミケード (インフリキシマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、ヒュミラ(アダリムマブ)、Cimzia〔シムジア〕(セルトリズマブペゴール)、およびSimponi〔シムポニ〕(ゴリムマブ)が含まれる。
背景:HSTCLは悪性度が高い癌で死に至る場合が多い。報告のあった症例の大部分はクローン病および潰瘍性大腸炎の治療を受けていた患者であったが、乾癬の治療を受けていた患者が1人、および関節リウマチの治療を受けていた患者2人も含まれていた。現在FDAでは報告のあったHSTCL症例数の更新を行っている。
報告のあったHSTCL症例の大部分は、TNF阻害剤およびアザチオプリンまたはメルカプトプリン、あるいはその両方などの免疫系を抑制するとして知られる薬剤の併用療法を受けた患者において発症したが、アザチオプリンまたはメルカプトプリンの単独療法を受けた患者においても報告がなされている。
推奨:患者および介護者に対し、 HSTCLなどの悪性腫瘍の徴候や症状 についての情報を提供することで、あらゆる徴候や症状を認識して検査および治療を受けることができるようにする。これらの徴候や症状には、脾腫、肝腫、腹痛、持続性発熱、寝汗、および体重減少が含まれる。
患者がTNF阻害剤およびアザチオプリンまたはメルカプトプリン、あるいはその両方による治療を受けていた場合は、悪性腫瘍の発症についてモニタリングを行うべきである。
関節リウマチ、クローン病、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎および尋常性乾癬を有する患者は、米国における一般集団よりリンパ腫を発症する可能性が高いことを理解するべきである。 従って、TNF阻害剤やアザチオプリンまたはメルカプトプリン、あるいはその両方の副次的なリスクを評価することが困難である可能性がある。
医療従事者および患者に対する他の具体的な推奨については医薬品安全性通達、および追加情報についてはデータ要約を確認するべきである。
医療従事者や患者に対し、これらの製剤の使用に関連した有害事象や副作用をFDA MedWatch Safety Information やAdverse Event Reporting Programに報告することを推奨している。
報告書に記載のうえ提出すること。オンラインwww.fda.gov/MedWatch/report.htm
書式2をダウンロードするか、または 1-800-332-1088に電話をして報告書書式を請求すること。その後、住所記載済みの書式にある住所に送るか、または 1-800-FDA-0178にファックスで送付すること。
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