同種造血細胞移植は高リスク骨髄異形成症候群(MDS)に有力な選択肢
ダナファーバーがん研究所
研究概要
表題
同種造血細胞移植は高リスク遺伝子グループ全体でMDSの転帰を改善する: BMT CTN 1102試験の遺伝子解析
出版物
Journal of Clinical Oncology誌
著者
Jurjen Versluis医師、Christopher J. Gibson医師、Corey Cutler医師・公衆衛生学修士・FRCPC、R. Coleman Lindsley医学博士(ダナファーバーがん研究所)
要旨
同種造血細胞移植(HCT)は、最善の支持療法と比較して、重篤な血液疾患である骨髄異形成症候群(MDS)患者の全生存期間の改善することを示すエビデンスがある。しかし、MDSは不均一疾患であり、がんに関連する遺伝子変異が転帰にどのように影響するかについては、疑問点が残っていた。ダナファーバーの研究者であるR. Coleman Lindsley医学博士が主導した本研究では、MDSの高齢の両親を対象とした、同種造血細胞移植(HCT)に関する大規模臨床研究(Corey Cutler氏主導)のサンプルをDNA塩基配列決定により評価した。解析時に各患者の遺伝的・臨床的特徴を統合した結果、遺伝子変異の有無にかかわらず、患者はHCTの恩恵を受ける可能性があることが判明した。予後不良のリスクが最も高いTP53遺伝子変異を有する患者の約4人に1人が、HCT後3年経過しても生存していた一方で、HCTを受けなかった患者は1人も生存していなかった。
結果
腫瘍専門医は、TP53遺伝子変異を有する高リスクのMDS患者に対する同種造血細胞移植(HCT)の価値について議論してきた。このような患者の転帰は以前からきわめて不良であったため、HCTは無益な治療法ではないかとも考えられた。本研究は、TP53遺伝子変異を有する高リスクのMDS患者であっても、すべてのMDS患者に対して同種造血細胞移植を根治的治療の選択肢として考慮すべきであることを示している。
資金提供
本研究は、白血病リンパ腫協会、Edward P. Evans Center for MDS at DFCI、米国国立衛生研究所、米国国立心臓・肺・血液研究所、Rene Vogels Stichting、オランダ科学研究機構、エラスムス医療センター財団-Daniel den Hoed財団から資金提供を受けた。
- 監訳 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター)
- 翻訳担当者 藤永まり
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- 原文掲載日 2023/08/22
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