FDAが多発性骨髄腫にダラツムマブとヒアルロニダーゼの合剤を承認
2020年5月1日、FDAは、新規に診断されたか、再発・難治性の多発性骨髄腫と診断された成人患者を対象に、ダラツムマブとヒアルロニダーゼ(販売名:DARZALEX FASPRO、Janssen Biotech, Inc.社)を承認した。本剤は、ダラツムマブの皮下投与を可能にした。
ダラツムマブとヒアルロニダーゼは、これまでにダラツムマブの静脈内投与がすでに承認を受けていた以下の適応症に対して承認された。
・自家幹細胞移植の適応がない、新たに診断された患者におけるボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾンとの併用
・自家幹細胞移植の適応がない新たに診断された患者、および前治療を1回以上受けた再発または難治性の多発性骨髄腫患者におけるレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用
・前治療を1回以上受けている患者におけるボルテゾミブとデキサメタゾンとの併用
・プロテアソーム阻害剤と免疫調節剤を含む3種類以上の前治療歴のある患者、またはプロテアソーム阻害剤と免疫調節剤の両方に不応の患者における単剤治療
ダラツムマブとヒアルロニダーゼ(単剤投与)の有効性は、263人の患者をダラツマブとヒアルロニダーゼに、259人の患者をダラツマブ静脈投与に無作為に割り付けた非盲検非劣性試験であるCOLUMBA(NCT03277105)で評価された。本試験の共同主要評価項目は、奏効率(ORR)と薬物動態(PK)のエンドポイントである3サイクル目、1日目の投与前の最大トラフ濃度(Ctrough)であった。これら2つのエンドポイントの評価において、ダラツムマブとヒアルロニダーゼはダラツムマブ静注投与に比較し非劣性を示した。
ORRはダラツムマブとヒアルロニダーゼが41.1%、ダラツムマブ静脈投与が37.1%で、リスク比は1.11(95%信頼区間[CI]:0.89~1.37)であった。最大トラフ濃度におけるダラツムマブおよびヒアルロニダーゼとダラツムマブ静脈投与を比較した幾何平均比は108%(90%CI:96~122)であった。
VMP療法(ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾン)との併用(D-VMP)におけるダラツムマブおよびヒアルロニダーゼの有効性は、多施設共同非盲検試験であるPLEIADES(NCT03412565)の単群コホートで評価された。対象患者は、新たに多発性骨髄腫と診断された患者で、移植の適応がないことが条件であった。有効性主要評価項目であるORRは88.1%(95%CI:77.8~94.7)であった。
Rd療法(レナリドミドおよびデキサメタゾン)との併用でのダラツムマブとヒアルロニダーゼ(D-Rd)の有効性は、本試験の単群コホートで評価された。選択基準に合致した患者は、前治療を1回以上受けていた。ORRは90.8%(95%CI:81.0~96.5)であった。
ダラツムマブとヒアルロニダーゼの単剤療法で最もよくみられた副作用(20%以上)は上気道感染であった。D-VMP療法(ダラツムマブ+ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾン)で最もよくみられた副作用(20%以上)は、上気道感染、便秘、悪心、倦怠感、発熱、末梢性感覚神経障害、下痢、咳嗽、不眠、嘔吐、腰痛であった。D-Rd療法(ダラツムマブ+レナリドミド、デキサメタゾン)で最もよくみられた副作用(20%以上)は、疲労、下痢、上気道感染症、筋痙攣、便秘、発熱、肺炎、呼吸困難であった。
ダラツムマブとヒアルロニダーゼで最も高頻度に発現した血液検査値異常(40%以上)は、白血球減少、リンパ球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少であった。
ダラツムマブ及びヒアルロニダーゼの推奨用量は、ダラツマブ1,800mg、ヒアルロニダーゼ30,000単位を、推奨されるスケジュールに従って約3~5分かけて腹部に皮下投与する。
DARZALEX FASPROの全処方情報はこちらを参照。
本審査には、FDAの評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
骨髄腫に関連する記事
骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験
2024年11月4日
NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められない
2024年9月4日
【ASCO2024年次総会】多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン追加で進行・死亡リスク減
2024年8月8日
再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか
2024年2月20日