多発性骨髄腫に対するペムブロリズマブ追加ポマリドミド併用療法はリスクが有用性を上回る
再発または難治性多発性骨髄腫患者におけるKEYNOTE-183試験の結果
米国食品医薬品局(FDA)の要請で実施された計画外の特別中間解析から、ペムブロリズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾンの有用性とリスクの見通しは、再発または難治性多発性骨髄腫患者において好ましくないことが示された。KEYNOTE-183試験の結果は、2019年7月18日にLancet Haematology誌で発表される。
ポマリドミド+デキサメタゾンは、ボルテゾミブ+レナリドミド投与が奏効しなかった多発性骨髄腫患者に対する標準治療である。KEYNOTE-183試験では、再発または難治性多発性骨髄腫患者において、ポマリドミド+デキサメタゾンの有効性および安全性をペムブロリズマブを併用した場合と併用しない場合の両方で評価した。
KEYNOTE-183試験は、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イスラエル、イタリア、日本、ニュージーランド、ノルウェー、スペインおよび米国の11カ国97カ所の医療センターで実施されたランダム化、非盲検、第3相臨床試験であった。ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group:米国東海岸がん臨床試験グループ)全身状態が0-1で、以前にポマリドミドを除く2種類以上の治療を受け、最後の治療が奏効しなかった18歳以上の多発性骨髄腫患者を、自動音声応答または統合型ウェブ応答システムにより、ペムブロリズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン群またはポマリドミド+デキサメタゾン群に1:1の割合で無作為に割り付けた。
患者には28日のサイクルで1~21日目にポマリドミド4mgを連日経口投与し、1、8、15および22日目に低用量のデキサメタゾン40mgを経口投与し、これに加えてペムブロリズマブ投与群にはペムブロリズマブ200mgを3週間ごとに静脈内投与した。
主要評価項目は、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)の2項目とした。
無作為に割り付けられた患者全員で有効性を評価し、試験療法を1回以上投与された患者で安全性を評価した。
2016年1月から2017年6月の間に、合計249人の患者を、ペムブロリズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン群(125人)またはポマリドミド+デキサメタゾン群(124人)のいずれかに無作為に割り付けた。
2017年7月3日、FDAは3剤併用に関連するリスクが有用性を上回ることを確認し、試験を中止した。
追跡期間の中央値は8.1カ月であった。無増悪生存期間中央値はペムブロリズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン群で5.6カ月あり、これに対してポマリドミド+デキサメタゾン群では8.4カ月であった。6カ月時点の無増悪生存率推定値は48%対60%であった(ハザード比[HR]1.53;p= 0.98)。
全生存期間中央値は未達対15.2カ月(HR 1.61;p = 0.95)、6カ月時点の全生存率推定値は82%対90%であった。
重篤な有害事象が生じたのは、ポマリドミド+デキサメタゾン群では121人中56人(46%)であったのに対して、ペムブロリズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン群では120人中75人(63%)であった。
ペムブロリズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン群で4人(3%)が治療に伴い死亡し、死因は原因不明、好中球減少性敗血症、心筋炎、およびスティーブンス・ジョンソン症候群が各1人であった。心筋炎およびスティーブンス・ジョンソン症候群は、ペムブロリズマブに起因すると考えられた。ポマリドミド+デキサメタゾン群では治療関連死は報告されなかった。
本試験は、Merck & Co社の子会社である、米国ニュージャージー州ケニルワースのMerck Sharp & Dohme社から資金提供を受けた。
参考文献
Mateos MV, Blacklock H, Schjesvold F, et al. Pembrolizumab plus pomalidomide and dexamethasone for patients with relapsed or refractory multiple myeloma (KEYNOTE-183): a randomised, open-label, phase 3 trial. The Lancet Haematology; Published online on 18 July 2019. pii: S2352-3026(19)30110-3. doi: 10.1016/S2352-3026(19)30110-3.
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